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looser / アジアンタムブルー

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constellation / ep.01 - vox / Mikado





 太陽光と化学肥料を思う存分浴びてきたカリフォルニアオレンジみたいな街灯の光。
 夜になろうと、朝になろうと、眠ることなんて知らない街。
 この国で都会と呼ばれるに相応しい東京という場所。
 その巨大な都市が腹に抱える一部分に過ぎない、この池袋の片隅から見える米粒みたいな遠くの光に、田舎を知る少年は小さな寂寥感を抱きながら、親友が来るのを無人の歩道橋の上で待つ。
 「…、………もうすぐ夏なのに、まだ冷えるなぁ……」
 半袖のシャツの上に羽織っただけの上着の襟を片手で寄せて縮こまる。

 アスファルトの湿った匂い。
 日が暮れる頃に止んだ雨の名残だ。

 開いた携帯のデジタルは、律儀に27:52なんて数字をディスプレイはしない。
 フリップを閉じ、塗装が剥がれかけている手すりに少年は両腕を組む。そうして落とした視線の先の車道に、ほとんど車は通りかからなかった。ときどき空車のタクシーが通り過ぎてくくらいで、街灯がにじむような明かりで濡れた路面を照らしている。

 日中の猥雑さを知っているからこそ、戸惑いすら覚える静かな街の空気。
 親友の名前をほそりと呟き、早く来ないかな、と腕の中に顔をうずめる。

 少年は、空にあるあの星も、その名前も、まだ知らない。