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リヲ(スランプ中)
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魔王と聖女

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むかしむかしのむかし



魔王は生まれついたときから魔王たりえん力を持っていた。
しかし彼は何一つ持っていなかった、親もなく親類もなく唯一人という孤独。
名もない男は傷つき呪われた世界を旅した。
そして人々は欲深く罪深くもあるけれどただ懸命に生きているだけなのを知る。


男は人々に男が生まれ持っていた奇跡の力で天候を操った。
人々は喜んだ。 
男は人々を見るうちに古の呪いのせいで、
生まれたころから傷ついたものたちの存在を知った。
男は彼らを捧げよといった。
人々は喜んだ。


男はいつしか魔王と呼ばれるようになった。
名を与えられたことに男は喜んだ。魔王はいつまでも人々を守ろうと決めた。 
ある時、魔王は古の時代に人々が起こした過ちを再び繰り返そうとしているのに気づいた。 
魔王はその力で愚かな考えのものを止めようとした。
しかし誰も耳を貸さなかった。


魔王はその力でたくさんの命を終わらせた。
これでまた世界に呪いが蔓延することはないだろうと安堵した。 
しかし人々は魔王に恐怖した。 
生贄に捧げられた彼らは魔王に無残に殺されたのだと一人が泣き喚いた。 
魔王の孤独がまた目覚めた。


そして・・・魔王は出会った、運命の聖女と。
そして魔王は母なる命に力を注ぎ込んだ時に知った。
自分は人々を許して良いのか、
希望を持っても良いのかを見極めるために世界が産み落としたのだと・・・。 
母なる命は言う、帰っておいで。


けれども・・・魔王にはなによりも大切にしたいものがいると、母なる命に伝えた。 
聖女が貴方を忘れなければ、もう一度貴方を産んであげましょう。 
傷ついた命に力を返し魔王は眠りについた。
必ず出会えると信じて。


聖女は魔王をいつまでも待った。
母なる命が癒され、
目覚めた魔王は奇跡の力を失っていたけれど・・・聖女は気にすることなく微笑む。
彼は初めて彼というだけの存在で聖女を抱きしめた。

作品名:魔王と聖女 作家名:リヲ(スランプ中)