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Over The Aurora

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9.ねがい


 大ショッカー戦闘員の黒の服は闇に紛れやすい。骨格を象った白い模様が、本物の骸骨のように黒の中に浮かび上がる。
 カブトのクナイガンが閃けば、断末魔を残して骸骨が崩折れた後に、闇だけが残るように見える。
 融合崩壊の現象は一旦停止したものの、九つの世界は中途半端に融合し、融合した部分もあればまだ融合していない部分もあるという、非常に不安定な状態に陥っていた。それがすぐに何かを引き起こすというわけでもなく、見た目には穏やかなものだったが、この隙に進行してくる大ショッカーの兵は後を絶たなかった。
 カブト――天道総司は手際よく戦闘員を片付けていくが、その合間に彼はちらちらと余所見をしていた。
「あいつは……本当に、危なっかしい」
 その視線の先にいるのは勿論電王だった。
 類稀な身体能力を有する天道からすると、良太郎は何故戦っているのかが不思議なレベルだった。
 見殺しにするのも後味が悪いので、何かあればすぐ助けられる体勢は作っているつもりだが、良太郎はよろつきながらも意外と善戦を続けている。それは天道からすればあくまで、倒されていない、という意味に於いての話だったが。
 少し離れた前方で炎が帯を描いた。響鬼の鬼火だ。あの男がきっちり戦ってくれるのであれば、天道の負担も減るし、いざという時手一杯で良太郎を助けられないという事もなさそうだった。
 暫くこうして交戦が続いているが、戦闘員は減る気配もなかった。その時。
「行くぜ行くぜ行くぜーっ!」
 雄叫びが辺りに轟いた。随分と柄の悪い声だが、どこかで聞き覚えがあるようなないような。思い出せず天道は、魚の小骨が喉にひっかかり取れないようなもどかしさを感じた。
「えっ……」
 電王が動きを止めた。
「何をしている、動け!」
 駆け寄ろうとするとその前に電王は周囲の戦闘員達に取り囲まれ見えなくなる。
 温存していたあれを使わなければならないのだろうか。立ち止まり呼ぼうとすると、電王の周囲の囲みが割れた。
 戦闘員達を蹴散らしているのは電王だ。だが、形が微妙に違う。そして、良太郎は今やっと、よろよろと立ち上がった。
 ひとしきり戦闘員を踏みつけると、知らない電王は、持っていた剣を右の肩に乗せて、歌舞伎役者のように見栄を切った。
「へっへっへ。俺、参上!」
 そのポージングに、カブトはおろか、周囲の戦闘員達も、どうリアクションを取っていいものか困ったらしく、身動ぎもしなかった。
「えっ、何で、何でモモタロスがここにいるの?」
 一人良太郎だけが、何やら動揺したように知らない電王の方に駆け寄り、あたふたとしている。
「は……? お前、良太郎……? 何でだ? 良太郎はここに居んだろうが」
 知らない電王の方も、そんな良太郎をまじまじと見つめていた。
「そうだよ、良太郎だよ。まさか追いかけてきたの? どうやって?」
「追いかけて……? あんま訳分かんない事言うんじゃねえ、なんかこう……難しい事言われると頭が痛くなる」
 二人が噛み合わない会話を続けている間に、周囲も自分を取り戻す時間が出来た。戦闘員達が再び、二人の電王へと襲いかかっていく。
「よし良太郎、話は後だ。いいか手前等! 覚悟しな! 俺は最初から最後まで、クライマックスだぜ!」
 そう宣言して、知らない方の電王が再度戦闘員達の群れに斬り込んでいく。
 そして、良太郎は、カブトの眼前で、突然鎧が体から外れ、空中で組み替えられて再度装備された。
「な、何事だ! どういう事だ野上!」
 流石の天道も度肝を抜かれる。目の前に立った青い電王は、デンガッシャーと呼ばれる電王の武器を、長い竿へと組み上げた。
「いいのかい、僕にそれを聞いて。言葉の裏には針千本。それでも良ければ、僕に釣られてみる?」
「…………何を言っているのか全く意味が分からん」
 斜めに立って首を傾げ、気取ったポーズを取った電王らしきものは、竿を構えると、やはり戦闘員達の群れへ突っ込んでいった。
 その動きは、先程までの良太郎とは比較にならない。動きもいいし戦い慣れている。リーチを活かして、戦闘員達を寄せ付けず捌いていた。
「……まあ、いいか。あまり心配はなさそうだ」
 良太郎ばかりに構っている訳にもいかないし、今の動きであれば自分の身は自分で守れるだろうと思われた。
 カブトもクナイガンを構え直すと、再び戦闘員達の只中へと斬り込んでいった。
作品名:Over The Aurora 作家名:パピコ