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1つの正義と1つの想い

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星のカービィは、プププランドを守るために、戦艦ハルバードに乗り込み、仮面の騎士「メタナイト」と戦った。
しかし、彼は強かった。








「くっ・・・・・・・・。」
―――何時間戦ったのだろう。
大量の出血を負いながらも、カービィは剣を地面に突き刺し、今にも倒れそうな足取りで立ち上がる。
何度も殺られかけながらも、何度も立ち上がるその姿は、仲間を守るため勇敢に戦おうとするのか、憎しみ
に心を食い尽くされているのかも分からない。



「なぜ・・・・・・なぜそんなに立ち上がる。もう貴様のライフはとっくに無くなっている筈なのに、なぜそんなに私と戦おうとする。」
メタナイトは怒鳴る様に問う。しかし、カービィは意識もうろうの状態で、とても小さい掠れた声で答える。
「はっきり言え!!なぜ貴様はそんなに私と戦おうとする。」
鼓膜が破けそうな声で再び問い、カービィの首を強くつかみ引き付け、軽く投げ飛ばす。
「ぐぁっ!?・・・・。」
悲痛な叫び。全身から激痛が走りカービィの意識がますます薄くなって行く。
それでもカービィはまた剣を地面に刺し、立ち上がる。しかし、今度は少し様子がおかしい。顔が笑ってる。
痛さと心地よさの違いが分からなくなっているようだった。
そしてカービィは、メタナイトの問いに答えた。






「僕は、プププランドの人たちを守るために戦っているの。どんなに辛い事があっても、どんなに奈落の底に
落とされても、大事な人たちを守るために僕は戦う。だから、たとえ大ケガを負っても何度も立ち上がる。こ
れが僕の答え。」







「・・・・・・」
カービィの答えは、メタナイトの予想していた答えよりも遥かに大きかった。
メタナイトは黙っていた。いや、どう答えれば良いかこの場の対処法を考えていたと言った方が良い。
しかし、カービィはそんな時間を与えようとはしなかった。
「だから、君をたおす。そのために、僕はここまでやって来たんだ!」
剣を片手にこちらへ向かって走ってくる。そして、剣を振りかざし力いっぱい振り落とす。しかし、それは見事にかわされた。カービィは少し舌打ちをし、辺りを見回す。だが、メタナイトは何処にもいない。
「何処に行った、メタナイト!!」
叫んだが、なにも返事はしない。本当に見失ってしまったのだ。
強い風が、戦いの場に吹く。
カービィは、目をつぶりそっと耳を澄ます。












「・・・そこか!」
―――キーンッ・・・・
剣と剣がぶつかり合う。カービィはメタナイトの攻撃を見切ったのだった。
「ふ、さすが星のカービィ。音で私の気配が分かるとは。」
メタナイトは、少し笑うと宝剣ギャラクシアを振り上げ、力を篭める。そして宙に舞い、剣を振り下ろすと同時に、強い光を放った。


―――それは、『ソードビーム』だった。





「・・・・おっとっと。」



―――ズゴゴゴゴーーーンッ・・・・



ソードビームはカービィの横すれすれを通った。
メタナイトは、反動で少し動けなかった。
「もう、その技は攻略済みだからね。」
そんなメタナイトの後ろにカービィは回り込み、剣を振り、メタナイトをたたき切った。




―――――――パキッ・・・バキバキバキッ!




・・・・・すると、仮面が割れ、メタナイトの素顔が見えた。
それは、青い身体に黄色い瞳だった。
「貴様、よくもこの私の仮面をわってくれた・・・・・」








「…君って、僕に似ていたんだね。」









―――ボッ
メタナイトの頬はどんどん赤くなっていく。悔しいような、恥ずかしいような・・・。
そして、メタナイトはマントで顔を隠し、カービィにこう言い残して去っていく。







「そろそろこの戦艦は海に沈む。その前に、貴様はそこにあるウィーリーに乗って脱出しろ。そして、この仮
面を割ったカリは、いつかきっちり返してもらうからな。」






―――サァ~・・・・・
「何だったの、今の。」
戦いの場に残されたカービィはそう呟きながら、ウィーリーを探して乗る。
頭がカンカンに熱い。
さっきの激痛と違う痛み。
一瞬の出来事で、何がなんだか分からない。

ただ一つ、分かること。
それは・・・・・


















「・・・・・ろ、・・・・おい、・・・・きろカービィ!」
「・・・・・・・う・・・・ん、んわ?!」
僕は慌てて起き上がる。
ここは、海岸だ。
横にいたのは、リックだった。
「おいカービィ、大丈夫か?かなりの大ケガだぞ。」
「大ケガ?」
確かに、体の所々が出血していた。
さっきのメタナイトの戦いで負ったケガだろう。
でも、なんで彼は僕を見逃したのだろう。諦めたのかな、それとも・・・・・。





「おい、カービィ!とっととお前の家に戻るぞ。じゃないとその怪我治らないからなぁ。」
リックが強い口調で僕に言う。
しかし、僕はボケッとしていた。
「・・・まったく、好きにしやがれよ。もう・・・」
―――タッタッタッ・・・・





まだあの時のよく分からない痛みが残っている。
ただ一つ、あの青いマントとすごくよく分かっている痛みも残っていた。
それは・・・・















――――――僕は、君のことが好きになったんだ・・・。

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作品名:1つの正義と1つの想い 作家名:にゃか