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左手をつないで

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「うわっトムさん手、すげえ冷たいっすよ……?」

ふいに触れた手がひやりと冷たくて、静雄は驚いてトムの手をまじまじと見つめた。

「そっか? お前のが冷たくね?」
「そっすか……? でも今かなり冷たかったっすよ、トムさんの手」
「うーん? まあ、二人とも冷たいでいんじゃね? ほら、手冷たい奴は心があったかいって言うしよ」
「……そうっすね……?」

トムさんが言うならそうなのだろう。
にっと笑ったトムの言葉に、静雄はよくわからないながらも頷く。

「んな顔してねーでほら、手ェ繋いだら二人ともあったかいべ」
「っ……す」

誰かと手を繋ぐなんて、幽以外初めてだ。
どきどきしながら差し出された手に手のひらを重ねたら、

「バッカ、そうじゃねーよ」

笑って、指を絡められた。

「……っトムさん」
「んー?」
「……いえ。なんでもないっす」

すげえあったかいっす。

なんて言ったら手をほどいてしまうんじゃないかと思って、言うのをやめたけれど。

繋いだ指先は痺れるくらいに暖かくて。

緩みそうになる顔を誤魔化すようにサングラスを押し上げて、静雄はそっとその手を握り返した。
作品名:左手をつないで 作家名:ユトリ