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懐かしさはくちびるに溶けて プロローグ

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プロローグ



―暖炉の炎(ひ)は温かく、
             そして昔を思い出す―

「リヒテンを仕方ないので、貴様らに預けるのである!!」
スイスはやけくそのように、こう言ってきた。

スイスの妹・リヒテンシュタインは訳あって、ドイツとプロイセンの家に預けられている。
その理由というのが……。


「訳あって、アメリカの所へ長期出張せねばならなくなった」
前触れもなくドイツ宅にやって来たスイスは、開口一番にそう言った。
スイスの話はまとめると…。
アメリカの家とスイスの家の銀行である約束をした。
が、スイスの家の裁判所が、その約束を「違法」と判断した事から、スイスの上司らがアメリカの家への対応に苦慮する事に。
そこで、スイス自らアメリカの所へ行き、説明して来るように上司命令が下ったのだ。
流石のスイスも、『上司命令』という強権が発動され、渋々従う事にした。
が、スイスには一番頭を悩ませる事があった。
リヒテンをどうするか、だった。
広いスイス宅に一人ぼっちで残しておく訳にはいかない。
かと言って、アメリカへと一緒に連れて行く訳にもいかない。(理由:向こうへ赴く理由が政治的なことであるから)
スイスは仕方なく、リヒテンの元保護者であるオーストリアにリヒテンを預かってくれるように頼んだ。
が、オーストリアの答えは「Nein(ドイツ語で「いいえ」)だった。
偶然、オーストリアの所へ仕事で来ていたハンガリーにも頼んでみたが、彼女の答えも「Nem(ハンガリー語で「いいえ」)だった。
二人とも仕事が忙しく、リヒテンを預かる余裕など無かった。
スイスは最後の頼みの綱である、リヒテンの上司である侯爵家にも頼んでみた。
が、侯爵家は海外での公務があるという理由から、断られてしまった。


スイスは藁にも縋る思いで、リヒテンの元同居人であるドイツに頼み込んだ。
すると、ドイツは「スイスがそういう事情なら、リヒテンはうちで預かろう」と快く了承してくれた。
そうしたら、スイスはドイツとプロイセンに対して、ある条件を出してきた。
それは…。
『リヒテンシュタインに対しては、手を出しません』の文言が書かれた誓約書にサインする事だった。
ドイツとプロイセンは、スイスのとんでもなく恐ろしい迫力に負けて、その誓約書にサインしたのだった。


数日後、スイスに伴われて、リヒテンがドイツ宅へやって来た。
「暫くの間、ご厄介になります。
 どうぞ、宜しくお願いいたします。ドイツさん、プロイセンさん」
リヒテンは穏やかに微笑んで、二人に挨拶をした。
スイスはリヒテンとの別れ際に何やら色々と言っていた。
しかも、痺れを切らせたスイスの部下が来るまでの間、ずっと続いていた。

こうして、昔のような三人での同居生活が始まった。

※三つのお話に分かれております。