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すずき さや
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novelistID. 2901
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「恋愛距離感」【おためし版その3「無邪気な距離」(セラサク)

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「恋愛距離感」【おためし版その3「無邪気な距離」(セラサク):1,064文字】2010年12月29日発行


 寒いより暖かい方が好きだ。しかし、今年に限って言えば秋を迎えて涼しい風が吹いてくるのを感じ始めると寒いのも良いかもしれない、と思うようになった。
 寒くなればそれを理由に好きな人にくっついていても叱られない。そばにいても嫌がられない。多分。
 恋人と二人きりで過ごせる時間はあるようでいてない。サッカー選手のスケジュールは試合と練習以外にも意外と埋まっていることが多い。特にスターティングメンバーに名を連ねるようになった今シーズンは以前よりもはるかに自分自身の時間を取り辛くなった。
 隣にいる恋人はそれを普通のことだと思ってこなしているのだ、と思うと尊敬してしまう。
 そして今、世良にとって時間のない中、恋人の部屋で過ごす時間が最高に幸せな時間だ。
「うふふ」
 思わず口元が緩み笑ってしまう。
 世良はソファーに並んで座る堺にべったりとくっついて離れない。夏の間、堺は暑苦しいと言って嫌な顔をしたが、秋が深まるにつれ慣れて来たのか人肌恋しくなったのか嫌な顔一つせずじっとしている。
 隣にいる堺が雑誌のページをめくる乾いた音を立てた。それを聞きながら世良は幸せな気持ちを覚えて自然と頬が緩むと笑い声も出る。
「ふふふ」
「世良」
「はい」
「お前、気持ち悪い」
 寄り添っていることが気持ち悪いのか、笑ったことが気持ち悪いのか世良は判別がつかない。
 堺が低い声を出した時、これ以上近寄るなのサインだ。それに気付かず調子に乗ってくっつき過ぎると叱られる。無言でげんこつが下りて来る。
 今の気持ち悪いは少し判断し辛い。しかし、判断を見誤ると、げんこつを食らうことになるので世良はそっと体を離した。
「寒いから温め合おうと思ったっス」
「エアコン入れろよ」
 堺はぶっきらぼうに答えると雑誌に目を向けたまま世良へ手を伸ばすとくしゃくしゃと髪をなでた。
「省エネっスよ」
「電気代をケチるほど貧乏じゃねえよ」
 ぺしりと軽く頭を叩くと世良の髪から手を離した。
「地球にやさしくしないと駄目っス。ついでに俺にもやさしくしてください」
 不満げにつぶやいた言葉に堺は吹き出す。
「しょうがないな、ちょっとだけだぞ」
 堺は笑いながら雑誌をテーブルに置くと自分から世良へ寄り添うように身を預ける。
「二人きりの時だけだからな」
 世良の肩にもたれかかった堺は、目を閉じたまま静かにそう告げた。
「俺って近付き過ぎっスか」
「他の奴なら突き飛ばしているところだけど、世良だから嫌じゃない」
 自分の問いかけに頬を赤くさせて答える堺を見ると可愛いと思う。それを言うと露骨に嫌がられるのは目に見えていたので心の中にしまっておいた。
(To be continued…)