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でぃー あいふぁーざーふと -die Eifersucht-

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「燕ちゃんは働き過ぎだからね。たまにはこうやって羽を伸ばすのがいいのさ。」
燕がうきうきと話しかければ、由太郎はおどけたような気取った物言いで返す。
「そうそう、そういえば燕ちゃんは見た?小林清親の―。」
「ああ!なんだか最近、少し感じが変わったかな?」
「そうそう。それがね―。」
さりげなく会話を燕が好きな錦絵のほうへと持っていく。
燕も少し興奮した様子で相槌を打っている。
弥彦は息を殺して2人が立ち去るのを待つより他なかった。
動揺で激しかった動悸は、だんだんと落ち着いていった。
かわりに自分の表情が憮然としたものになっていくのが感じられた。
燕は昔から錦絵が好きだ。
それは知っている。
弥彦も一緒に買いに行ったり、妙の熱弁を一緒に聞いたりしているので
ある程度、燕が話す内容にはついていける。
だが由太郎のように自分から新しくて楽しい話題を振ることはできない。
だいたい、弥彦と燕の会話は弥彦が言いたいことを言い、
それに対して燕が相槌を打つことが多い。
そのときの燕はにこにこと話を聞いてくれているが。
(あんなにはしゃいでいるところは、正直あんまり見てない…。)
表情は見えないが、声の調子が違う。
明らかに弾んでいる。
楽しそうなのだ。
2人は小半刻ほどそのまま賽銭箱の横で話し込んでいた。
由太郎の話題は猫の目のようにくるくると変わっていったが、
燕の楽しそうな様子は一向に変わる気配を見せなかった。
やがて2人が去っていく気配がしたが、後を追う気にはなれなかった。
どのみち参道から先の道には隠れられるような場所もない。
こっそり様子を窺うなど不可能である。
小柄な燕より頭2つ分ほど背の高い由太郎が、燕をかばうように歩き去っていく。
その様子を弥彦はじっと見つめるしかなかった。
十分な時間が経過した頃合を見計らって、弥彦はようよう、寺を出た。
蚊に刺された腕がかゆかった。
腰の逆刃刀(かたな)がやけに重かった。