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ハガレン短編集【ロイエド前提】

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それでも・・・ 〜Izumi Curtis〜





おやすみなさいと告げられ、私も同じように「おやすみ」と返す。

ぱたん、とドアが閉められ部屋に静寂が戻った。

小さく息を付き、私も自分の部屋に戻りベッドに入る。

あの子達が居るからだろうか。今日は身体の調子が良かった。

最近ずっと、ベッドから出る事など無かったのに。

しかし暫らく観ない間に、立派になった。

勿論、私に言わせればまだまだ未熟者なのだけれど。

それでも、いい顔をするようになった。

きっと色々な物を・・・観たんだろうね・・・

あの子達が人体錬成を行ったと知った時、錬金術をあの子達に教えた事を、激しく後悔した。

私と同じ道を、歩ませてしまったと。

一番、させてはならない事だった筈なのに。

あの子達の身体をあんなにする為に・・・私は錬金術を教えた訳じゃ無い・・・

あの辛さを・・・あの子達は味わったのだ・・・

無理しなくていいと、あの子達を抱き締めた時。

すいません・・・ごめんなさい・・・と、何度もあの子達は言葉を紡いだ。

何度も・・・何度も・・・

・・・・・・・・・・・・本当に・・・・・・・・・・・・

馬鹿な子達だよ・・・・・・・・・・・・

余計な所まで引き継がなくても良かったのにね・・・・・・

恐らくは・・・

これから先、更に辛い思いをする事になるだろう・・・

それでもあの子達は・・・目を逸らさずに真っ直ぐと前を見据えて行くのだろう・・・

そして私も・・・あの子達と共に、あの子達の行く末を見届けなければならない・・・

それが、私の責任だから・・・

ふと、窓から入る明かりが、うっすらと明度を増した。

雲間から月が、顔を出したらしい。

視線を移すと、まぁるい月が、こちらを見下ろしていた。

これからまた、忙しくなる。

アルの記憶を戻してやらなきゃならない。

可能性があるならそれに縋りたいと紡がれた言葉に、出来る限りの手を尽くして、方法を見つけて
やろうと、思った。



・・・いつかは・・・叶うのだろうか・・・

あの子達の、願い・・・

確信なんて、何処にも無い。

けれど・・・

それでも・・・

あの子達がちゃんと笑えるようになれればいいと、私は心から願うのだ。




                                     Fin.