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Ⅴ-Five

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第二章 歩み出す





先生と別れ、エドワードたちは出発した。
別れ際に肩に置かれた手の温もりをきっとエドワードは忘れないだろう。


紹介された病院はセントラルといっても随分と端の方にあった。
ジョン・タークスが開設した病院で、現在は娘さんのロザリー・タークスが受け継いでいるという。
アルフォンスにはセントラルで一度別々に情報収集をしようと言っていた。
実際に、一度情報を集めないと前に進めない状況でもあったから不自然ではない。

エドワードは最近、よく自分の行動を考えてから動くようになった。
アルフォンスにバレるわけにはいかない。
そのため、自分の行動が不自然ではないか、提案が不自然ではないか、
自分らしくなくなってはいないか、そんなことばかり考えるようになっていた。

だが、アルフォンスも馬鹿ではない。
どこか慎重的になったエドワードのことが気になっていた。


別行動を取り、アルフォンスが図書館に向かったのを確認したエドワードは紹介された病院へ向かった。
その道のりは長いようで短かった。


「・・・・着いちまったな。」


やけに重く感じる扉を開ける。
ギィッ――という音がした。

「こんにちはー誰か居ませんかー?」

中に入ると人の気配がしない。
エドワードは場所を間違ったか?と思うが、確かに病院だった。
診療室の書かれた部屋と待合室と書かれた部屋。
だが、そのどちらにも医者どころか看護師も見当たらない。

仕方なく声をかけつつ奥に進んでいくと、声が聞こえてきた。
その声の出所を辿っていくと研究室と書かれた部屋があった。
恐る恐る覗いてみるとそこには膨大な数の医療関係の本の山、そしてその山の頂上にあぐらをかいている女性。

「あの、」

エドワードが声をかけると、いかにもかったるいという顔をしてその女性が本から目を離す。
そしてエドワードの姿を確認すると、本をそっとおき山から身軽に飛び降りる。
エドワードが驚いていると、その女性はエドワードの手を取り先ほど通りすぎた診察室へと連れて行く。

「ちょっ!!あのっ・・」

「・・・・・・脱ぎなさい。」

「・・はぁ!!???」

「ったく面倒ね。」


「うぎゃぁあぁぁぁーーー!!!!」


エドワードの服は無理矢理剥がされていった。
エドワードは何が何だか分からずただ暴れる。
その間にもその女性はエドワードの体の至る所を押していく。

「痛ぇぇええ!!!」

「痛って!!!!!」

「痛ててっっ!!!」


「よし。」

「よしじゃねぇーーーよ!!!」

散々痛い目にあったエドワードは完全にキレていた。
だが、女性は涼しい顔してそんなエドワードを無視する。
カルテに何か書き込んでいた。

「まだ時間あるわ。」

「ぁあ?」

「寿命よ。」

「・・・・・?」

「後悔ないように生きな。」

「・・・もしかして、ロザリー・タークスさん?」

「名乗らなかった?」

「・・・名乗ってないです。」

あらそう、なんて言いながら相変わらずカルテに書き込みを続けている。
エドワードには疑問がいっぱいあった。

「今、何したんですか?」

「押した所覚えてる?」

「・・・一応。」

「覚えときなさい。
その押した所全てが痛く感じなくなったらあなたの寿命は2ヶ月。」

「・・・・・っ!!」

「目安ね。」

「・・・・俺はやっぱり、」

「タークス病。
病院からあなたの資料を前もって受け取ったわ。
私の勘も含めて、あなたはタークス病で間違いない。」


エドワードは覚悟が出来ていた。
それでもきっと診断結果が出たとき、ショックを受けるんだろうと思っていた。
だが、あまりにもハッキリと言い切ったロザリーに少し笑ってしまった。
そんなエドワードにロザリーは少し驚いた。

「そうですか。」

「知ってるだろうけど、この病気は不治の病。
だから私の仕事は主に研究。診察なんてするだけ無駄。
その時間を研究につぎ込んだ方が未来のためってもん。」

「それで人が居ねぇのか。」

「そういう事。」

「・・・あっでも、確か進行を遅らせる薬があるって。」

「あぁあれね。あの薬は幻よ」


ロザリーは過去を思い出していた。
あの薬の効果がまだ信じられていたころを。

まだ、己は医者ではなかったが恨みのこもった目で父を見つめる患者の家族。
あれは忘れられない―――


「・・・・まぼろし?」

「あの薬はね、確かに寿命を1年延ばすけど、寝たきりになるのよ。
四六時中体中がきしむような痛み、頻繁に出る高熱、痙攣、呼吸困難。
あれを飲んでそんな苦しみの8年を生きるのなら、今のように味覚障害がある程度で日常生活にそこまで困らない7年の方が私はお勧めだと思うわ。」

「・・・・・そん・・な・・。」

「現実なんてそんなものよ。」

「・・じゃあ俺はあと7年、」

「食生活、睡眠、規則正しい生活しなさい。
あなたは若いからきっと進行が早いわ。そうね・・5年。」


「・・・・・・っ・・!!」



「楽しんで生きなさい。」



ロザリーは切に願っていた。

何年か前、言っていた台詞。
『私が絶対に薬を完成させるから大丈夫。』
そう告げた患者が死んだ時、ロザリーは自分を責めた。

過信して、この病院に縛り付けて、自由を奪って・・・
もっと楽しい毎日を自由に過ごさせるべきだったと後悔した。


「・・・・・。」

「じゃ、私は研究に戻るよ。」

「・・・あっあの!!」

「ん?」

「・・ありがとうございました。」

「何もしてないわ。」

「・・・いえ、ハッキリ言ってもらえて、迷いが消えました。」

「・・そうか。」

「楽しんできます。それじゃ、」


ロザリーはエドワードを見送ると、研究室のあの山に登る。
今度こそ救うために。


作品名:Ⅴ-Five 作家名:おこた