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スピカ@黒桜
スピカ@黒桜
novelistID. 28069
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もう一回

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「菊〜もう一杯飲ませるアル」

「だめです、これ以上は体に毒です」

「けちくさいこと言うなアル」

紹興酒の壺を奪ってツンとしているのが菊、その隣でグダングダンに酔っているのが耀だ

「耀さんのためを考えて言ってるんです、素直に従ってください」

「・・・・・耀さん、なんて呼ぶなアル」

ムスッとした声が返ってきた

「昔は菊も可愛かったアルね、ワタシの真似ばっかして後ろをちょこちょこついてきて・・・」

バッと菊の顔が赤くなった

「い、いつの話をしてるんですか!」

「にーに、って読んでくれてた頃が懐かしいアルよ」

フゥとため息をつきながら言う耀の顔に嘘はなさそうだ

「私も、もうそんなこと言う歳じゃないですよ」

「にーにって呼んでくれなきゃ嫌アル!!」

「いい歳して我がまま言わないでください!」

「菊の意地悪・・・」

それ以降シン・・・と辺りが静まり返った

菊がどうしたことかと耀の方を覗き込むと

「スースー」

と寝息をたてて夢の中へと入りこんでいた

「にーに、ですか・・・」

たしかに昔はそう呼んでいた

彼のことが大好きでたまらなかった

「もう呼んであげませんからね・・・にーに」

すると、小さな声でつぶやいたはずなのに耀が起きた

「久しぶりに聞いたアルよ」

菊は自分の顔がカァッと熱くなるのを感じた

「ね、寝てなかったんですか・・・」

「もう一回呼んでほしいアルよ」

「・・・・・・・また今度ですっ!!」

そう言って彼に抱きついておいた

この気持ちが伝わるといい、そう思いながら
作品名:もう一回 作家名:スピカ@黒桜