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風丸受けまとめ

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*円風


雨は好きじゃない。
髪がいつもの五割増しでうねるし、グラウンドが使えないし、じめじめと肌に纏わり付く湿気も気持ちの良いものではないし。
それにいつ降るか予想がつかない所も。

そんな事を考えながら俺は、しとしとと地面に降り注ぐ雨粒を見て、ため息をついた。
今日の天気予報は40%だったから、傘も持って来なかったのだ。
こんな事なら居残ってテスト勉強なんてせずに、素直に帰ってしまえばよかった。

走って帰るか、少し弱まるまで待つかで逡巡していると、後ろから耳慣れた声が聞こえた。
「風丸?」
「ん?円堂?」
振り返ると、学校鞄を肩に提げた円堂が居た。
もう6時を回ろうかという時刻なのに、なんでいるんだ?
「まさか、お前も居残り勉強とか…?」
「まさか!」
「だよなあ。」
解ってた事だけど、それでも円堂もやっと勉強するようになったのか、なんて僅かに期待してしまった自分が悔しい。

「そうじゃなくて、ずっと部室のボール磨いてたんだ。」
そしたら雨振ってんのに気づかなかった!と言って円堂は笑う。
なんというか、円堂のサッカーバカっぷりにはある種感動を覚えてしまう。

よく見ると鼻の辺りに泥がついていたのでそれを手で拭ってやった。首を傾げる円堂がなんだかおもしろくて微かに笑うと、円堂もにっこりと笑いかえす。

その笑顔に油断した。

気付くと眼前に円堂の顔が近づいていて、びっくりして目をつぶるとすぐ唇に柔らかいものがあたった。

「!」
一瞬頭が真っ白になり数秒後に何が起こったのかを理解した。手足の先まで血が巡ってどくどくと心臓が脈うつ。
咄嗟に俺が身を引くとそれはすんなり離れていった。

「何すんだよ!」
「え、何って、」
ちゅー?とケロリと言ってのける円堂からは微塵も反省の色が伺えない。
その態度にふつふつと怒りが湧いてきて、俺はくるりと踵をかえした。
「もう円堂なんか知るか!俺先に帰るからな!」
そこまで言って、目の前の光景にはっと気付いた。そういえば雨が降っていたのだった。しかも、傘がない…。

もう一度くるりと振り返ると、さっきと同じ位置に円堂が立っていてまた首を傾げた。
「帰るんじゃなかったのか?」
「…傘…持ってない…。」

結局俺は円堂の傘に入れてもらうことになった。




作品名:風丸受けまとめ 作家名:はるた