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ルック・湊(ルク主)

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服装



「あのさ、その服、いつまで着る訳?」

ルックがデュナンに滞在中であっても、湊は王としての業務がある。
ただシュウもいちおう気を使ってくれているのか、いつも忙しいはずの湊も割合ルックと過ごす時間はあった。まあ、この場合、シュウはルックに気を使ってくれている訳でもなんでもなく、ただ単に湊が喜ぶからであろう、という事は間違いないだろうが。
今も湊は何人かの要人と話をしていたがルックの姿が見えると、彼らにニッコリと手を挙げてからこちらにやってきた。

「ルックー、ご飯食べよう、ご飯ー!おなかすいたよー!!」

そうして、今日は良い天気だから、とテラスにて2人で食事をとっている時に、ルックが冒頭の質問を湊にした。

「へ?なんで?」
「君は王様だろ?いい加減もっと威厳ある服とかさ?」
「って、威厳てー!あはは!!僕には似合わないよー。これ、なんで?なんかダメ?」

湊がさもおかしそうに笑ってから、首をかしげつつルックに聞いた。

そんな格好、してほしくないに決まってるだろう?
そんな表情とか。
そんな笑み、それとともに赤くなる頬やキラキラ輝く美しい琥珀の瞳。
そしてその華奢な体。
本当は誰の目にもさらしたくないとすら思うのに、そんな薄着、なおさら・・・。
戦争中はまだ良かった。普段はその格好でも戦になれば身を覆う鎧をまとう。それに。いつだって僕がいた。
今はずっとその格好。・・・そして普段僕はいない。
ひそかに、自分がいない間に湊がその姿をさらしまくっている事が心配だし我慢ならない。
なんでそんな格好なんだ、とは昔から思ってはいたが。

ゲンカクの形見だという黄色いスカーフは本当にありがたかった。まさにゲンカク様といったところか。
これをいつもしてくれているおかげで、あの華奢で綺麗な鎖骨はいつだって隠れていた。スカーフがなければ当時であっても何が何でも違う服装にさせていたかもしれない。
だがなぜノースリーブなんだ。しかもとても細いから、袖口からほんのり中が見える。先ほどだって誰だか知らないけどそいつらに手を挙げた時、そいつらの目線は絶対腋にいっていた。
そして簡単に巻いたようなだけの上着。下肢はスパッツをはいているといえどもヒラヒラと動きめくれる裾がいつだって気になっていた。
だいたいスパッツというのも理解できない。ズボン履けよ。しかも膝あたりまでしかない為にブーツを履いているとはいえ、湊の綺麗な素足がいつだって色んな奴の視線にさらされていた。

「・・・色んな意味でダメに決まってるだろう?」
「え!?な、なんで?」
「っあ。いや、今のは独り言・・・。でも君も王なんだからね?いつまでもそんなノースリーブとか、ダメだと思うんだけど。色んな人にこれから会う機会も増えるというのに、あまりマナー的にもどうかな、ってね。」
「そっかぁ・・・。そうだよね。僕ずっとこれだったからなー。愛着あるんだけど、そうだよねー・・・。」

よし、相変わらずその辺は単じゅ・・・素直な子だ。

「だいたいなんでいつもそれなのさ?」
「あー、小さい頃は違う服だったけどねー。少し大きくなってそれらの服が小さくなった時にね、これ、着てみたんだー。じゃあね、ジョウイがすっごくよく似合うよ!て褒めてくれて。それ以来、かなあ?僕、それまで人からあまり褒められたことなかったし。」

とある名前が出た瞬間、ルックは体をピクリ、とさせる。
そんな理由だ、と・・・!?・・・あのクソスダレめ(どうやら前髪の垂れ下がり具合を差している模様)!!
ルックは忌々しい思いで、だったらなおさら別の服だな、と決意を新たにした。

「ふーん、そうなんだ。まあ確かにそれも似合ってるけどね?違う服も見てみたい。ズボンとかは履かないの?チャイナ風の服とか、きっと君に似合うよ。」
「ホント?じゃあうん!分かった!!えへへ、そういえばルックから似合うとかそんなん初めて言われたかも。まだ着てないけど。」
「そうだった?」
「うん、そうだよー!なんかいっつもこの格好だけどさ、この格好に関してはなぜかあまり良い顔してくれないし、あ、そうそう、昔クスクスの街に悪者退治に行こうとした時に来てた女性の格好だって“全然似合ってない”とか言われたしねー。」
「ああ、そういう事あったね・・・。ていうか、女の格好が似合うって言われたい訳?」

嫌な事を思い出させてくれた。そういえばそんな事あった。
実際あの時の湊の格好はブカブカすぎて似合ってなかったし、しかも結局自分が女装させられた。

「ううんーそんな事はまったくもってないよー?ただ、やっぱり似合わないって言われるよりは似合うって言ってもらうほうが嬉しいってこと!」

ニッコリとした湊が可愛くて、思わずここでキスしたいと思った気持ちをグッと抑え、ルックは言った。

「・・・だったら・・・今日時間あるなら服、見に行く・・・?何か、湊に似合いそうなものを探しに・・・。」
「ええ!?い、いいの!?わあ!!絶対行く!!例え山のように仕事あったって行く!!」
「ちょ、何もそこまで・・・」
「だって!!僕ら、付き合ってから今までさほどデートらしいデート、した事ないんだよ?嬉しいに決まってるじゃん!!」

やばい。
いますぐ抱きしめたい。

「?ルック?どうしたの?」

少し俯き、口元を押さえたルックを、湊は不思議そうに見た。

「・・・いや・・・。・・・食べ終わった・・・?」
「へ?うん。今から行く?」

・・・悪いけどね、湊。それはちょっと後回しかな。

「いや、ごめん。ちょっとその前に湊の寸法、君の部屋で測らせて。」
作品名:ルック・湊(ルク主) 作家名:かなみ