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ルック・湊(ルク主)

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再会



「・・・誰?」

詩遠はまだ気づいていないようであった。
まぁ普通はそうであろう。見た目がすっかり違っている。あの頃の姿は本当に仮の姿だったんだなぁ、と湊は思った。
確か同盟軍に見知った顔があるような気がするから念の為に顔や見た目、話し方などを少し偽っている、とか言ってたよね。

「キリル、さん、だよね?」
「はい、元軍主様。」

湊が言うと、キリルはニッコリとして当時の口調で肯定してきた。

「・・・キ、リル?」

だがキリルの名前を昔聞いてなかった詩遠はまだ分かっていない。

「あのね、昔僕がちょっと変な人に浚われた事あったじゃないですか、ストーカーみたいなのをされた上に。その時に手を貸して下さったお花屋さんです。」
「花、屋・・・。ああ!て、あなたが?」

少し考えていた詩遠がようやく思いだしたようにキリルを見たが、やはり見た目が違う為首を傾げている。

「ああ、ごめんね?当時はちょっと顔や話し方などを変えていたんだ。顔なじみがいたようだったので。でもよく僕だと分かったね、湊くん。」
「うん!なんか醸し出してる気配が一緒だった!うわぁ、久しぶりだ!また会えて嬉しい!キリルさん。」
「僕も。ちょっと南の方にずっといててね、ここに来るのが遅くなってしまったんだけど、でも丁度良い時だったようで良かったよ。」
「て、顔なじみ、てあの同盟軍に?誰だか聞いても?」
「そうだね、今ならいいかな。ジーンさん。」
「へえ。でも顔なじみなら別に見た目偽らなくても?」

ニコニコしている湊の横で詩遠が先ほどから質問攻めだ。まだ少しいぶかしんでいるのかもしれない。

「まあ、普通ならそうなんだけど・・・なんて言ったらいいかな・・・。僕としては同じ人だと思っているんだけど、向こうは僕の事を知らないジーンさんかもしれないし、知っていたとしてもあれほど年数が空いていると向こうとしても微妙かなぁとか思って・・・。」
「・・・えっと・・・湊、分かる?」
「うーん、今のはちょっと分からないです。」
「あはは、ごめんね?ジーンさんってかつて僕の仲間でもあった人なんだ。でもそれは約150年ほど前の話だから。」
「え。ほ、本当!?」

湊もさすがにそれには思いいたらなかったのか、普通にびっくりしているようである。だが詩遠にしてみればテッドも実は300年もの間生きてきていたのを目の当たりにしている。あり得ない話ではない。だが。

「だがあなたは真の紋章を持っていないよね?」
「そうですよね。」
「ああ。うん。僕は紋章によって長生きしているわけじゃないよ。うーん。まぁ人であって人でない、と言っておくよ。」

キリルはニッコリと言った。湊はそれでいいと思ったのか、ニッコリと笑い返す。
なんていうか、どうも湊はこの青年が好きみたいだな、と詩遠は思いつつ、口を開いた。

「まあ、いいけど、ね。で?」
「うん?」
「役に立てる、と言うのは?」
「ああ、そうだったね。覚えてくれているかな。僕が希望したところに移動する方法を使っていたのを。」
「「あ。」」
「うん。だからね、ルックくん、だったっけ。僕も会った事あるし、多分そこに転移する事は可能だよ。グラスランドに着いたら僕はまたちょっと用事で離れるから、後はまた君たちで行動してもらいたいんだけどね。どうする?」
「だって。いいんじゃない?湊。」
「そうですねー。あの。」
「どうしたの?」
「その移動って、本人の目の前に行っちゃうの?それとも調整って出来るの?」
「んーまぁ多少はずらしたりとかも出来るとは思うよ?」
「そっか。じゃあ、もしキリルさんさえいいならお願いしたい!ホントにいいの?」
「うん。いいよ。約束したしね。戦争が終わったのち、僕が助けになるのなら、今度は偽りのない姿で会いにくるって。」

キリルはニッコリといとも簡単に承諾した。詩遠が首をかしげつつ聞いた。

「でも・・・きっとルックも気配などは消してると思うんだけど、その辺大丈夫かな。」
「そうだね、隠れてるなら気配なども魔法を使ってでも消すだろうね。でも僕の移動方法は、魔法とは少し違うから。」
「へえ?」
「異次元を使って移動するから。」
「「??」」
「あはは、あまり気にしないで。じゃあ、早速、いいかな?」
「え、あ、待って!」

湊はそう言うと深呼吸を繰り返した。それからニッコリと笑ってうなずいた。

「うん!お願いします!えっと、出来れば様子をうかがいたいので、少しずらしていただければ」

そして3人は黄色く輝く光に包まれ、その場からいなくなった。


「・・・わあ。暗い。ここ、どこだろ。」
「ほんとだね。なんか地下っぽい道だけど。」

気づけばもうまったく見知らぬところに立っていた。辺りは暗く、洞窟の中のようであったが、道は細長く続いている様子である。そして少し広くなっているここの先にはなにか大きな扉のようなものが。

「場所は僕もよく分からないけど、多分大空洞の近くじゃないかな。」
「大空洞?」
「あ、聞いた事あるな。確かリザードクランの住む場所だった・・・あ。」
「?どうしたの、詩・・・あ。」
「・・・隠れようか?」
「「うん。」」

3人は気配を感じ、とりあえず岩の陰に隠れた。するとそこにしばらくしたら何やら不思議な集まりの一団が歩いてきた。
うす暗い中じっと見てみると肌の色の黒い少年と派手な大きな帽子をかぶった少女、それに付き添いの者なのか青年が2人・・・そしてフェザーに・・・アヒル・・・?

「・・・アヒルちゃんが兜被って歩いてる・・・。」

湊がポヤンとした口調で言った。いや、まあそうなんだけれども。

「・・・多分、俺も初めてみたけどダッククランのダックだろうね。湊、アヒルちゃんじゃないよ?」
「しっ、なんか止まってるみたい。」

キリルが言ったように、その集団は歩くのを止めその場にどどまっている。こちらの事がばれたか、と思ったが違うようだ。あらたな気配が感じられた。
妙な集団もその気配を感じたのか、こちらから離れた岩陰に隠れ始めた。
そして。

「・・・詩遠さん。」
「・・・何、湊。」
「ここは感動の場面なのかな、それとも突っ込む場面なのかな?」
「うーん、まあ俺としては突っ込んで欲しいところだけれど、まぁ隠れてる訳だしね?ちょっとまあ様子をうかがおうか。」

詩遠と湊が見ている中、緑色の服を着た、見るからに怪しげでなぜそれを選んだ!?他にいくらでもあるだろう?といった、最早うけを狙っているとしか思えない仮面をつけた男が青い服の女と黒い姿の男、そして赤い髪の男を引き連れてその扉らしき前まで来たところであった。
作品名:ルック・湊(ルク主) 作家名:かなみ