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ハロウィンつめあわせ

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悪戯(二年後沖神)



夜の江戸の町を、立派なマントを羽織った美形の青年が颯爽と歩いていた。
神聖真選組皇帝のソーゴ・ドS・オキタ三世である。
またの名を、沖田総悟。いや、そちらのほうが本名だ。
皇帝みずからが市中見廻りをしている。
今日はハロウィン。
仮装した人々が町を歩きまわったりする。
その中に危険人物がまじっているかもしれない。
そうでなくても、なにか騒動が起きるかもしれない。
だから。
というのは、ただの言い訳で、皇帝の執務室の机に山積みとなっている仕事の書類から逃げてきたのだった。
ふいに。
「かーくーごォォ!」
どうやら覚悟と言っているらしい声が聞こえてきた。
襲いかかってくる気配。
沖田は瞬時に動き、攻撃をかわした。
それから、攻撃してきた者のほうを見る。もっとも、さっきの声で、だれなのかわかっているのだが。
「チッ」
神楽がくやしそうに舌打ちした。
その手には彼女の武器の傘がある。
「……なんだテメー」
沖田は神楽の全身を眺めて、言う。
「そのカッコは」
すると、神楽は得意げな顔になった。
「これから、かぶき町ハロウィン仮装コンテストが開かれるアル。それに、私も出場するアル」
神楽は胸を張る。
「優勝して豪華賞品をもらうアルよ」
優勝したときのことを想像したのだろうか、にんまりと笑っている。
しかし、沖田は冷静そのものだ。
「ああ、化け猫のコスプレをしているのか」
「違うアル! 猫なのは違わないけど、化けは付かないアル!」
顔色を変えて、神楽は抗議する。
「私は可愛い猫アル!」
その頭には猫耳が、そのお尻には猫のしっぽが付けられている。
似合っている。
なんて言うつもりは、一切ない。
神楽は抗議し終わると、くるっと身体の向きを変えた。
どうやら沖田を相手にするのはやめてコンテスト会場に向かうことにしたらしい。去っていく。
そのコンテストの邪魔をしてやろうかと沖田が考えたとき、神楽がまた身体の向きを変え、もどってきた。
そして。
「お菓子、寄こすアル」
にーっと笑って、手のひらを差しだした。
子供か、おまえは。
そう沖田は言おうとして、だが、あることを思いついて、言うのをやめる。
沖田はキャンディを取りだした。
ここまで来る途中で、だれかにもらった物だ。
キャンディを神楽のほうへ近づける。
神楽は嬉しそうだ。
けれども。
沖田はキャンディを神楽の手のひらに落とさず、逆に自分のほうに引きもどす。
さらに、包みを開けてキャンディを取りだし、自分の口の中に放りこんだ。
「あー!!!」
神楽が非難するような声をあげた。
その身体は少し前のめりになっている。きっと無意識のうちにしたことだろう。さっきまでより沖田との距離が縮まっている。
沖田は笑った。
同時に、近くにある神楽の身体をしっかりと捕まえる。
間を置かず、距離を詰めた。
可愛らしい猫娘の唇を奪ってやる。
触れている身体は一瞬震え、堅くなった。
驚きと緊張のせいで抵抗するのを忘れてしまっているらしい。
しばらくして。
「……甘かっただろ?」
沖田は神楽に問いかけた。ニタァと笑って、だ。
すると、凍りついたように動かないでいた神楽の表情が変わった。
「このクソヤロー!!」
完全に怒っている。
沖田は神楽の怪力を受けるまえに、さっと身体を退いた。
しかし、神楽はそれで終わりにするつもりはないようだ。
武器である傘を構えて、襲いかかってくる。
沖田は刀を抜いた。
戦いを避ける気はない。
いや、違う。
むしろ、戦いたい。
楽しいのだ。
神楽はコンテスト会場に行くのを忘れ、そして、沖田は屯所に帰らなければならないことを忘れたフリをして、戦い続けた。







作品名:ハロウィンつめあわせ 作家名:hujio