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緊急指令!鹿目まどかを抹殺せよ! リリカル☆マギカ(第2話

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 リインは、自分の魔導書『蒼天の書』を手に取ると、
目を開けて、皆に向き直った。

「はやてちゃん、それに皆さん。

 アレは、とんでもなく、まずいです」

「分かったんか?

 あの攻撃の正体が」

 はやてが尋ねる。

「はい。アレは、ただの原子分解砲でもなければ、
素粒子破壊ビームでもありません。

 いいですか。生命体にも、私達デバイスにも、
様々なマシンにも、時の流れの中に、
存在するための原因が有ります。

 あの攻撃は、その原因と、現在の対象物を
結び付けている《因果の糸》を断ち切り、
対象物を完全に消し去る《完全消滅魔法》
です!」

「な?!」

「なんて恐ろしい……」

 リインの解説に、驚愕するはやてと、シャマル。

「確かに、原理を聞く限り、今までに
前例の無い恐るべき攻撃魔法だ」

 さすがにシグナムは冷静に話を進めた。

「しかし、映像を見る限り、回避はさほど
難しくは、なさそうだ。

 この魔法陣が輝きだしてから、消滅魔法弾が
発射されるまで、約3秒程度のタイムラグが
あるようだ。

 魔力弾がこちらをホーミング(自動追尾)せず
直進するタイプなら、この隙に回避可能な
はずだ」

「そうだね。
 これなら勝算はあるかも」

 なのはも、自分の考察を述べる。

「おう!

 敵弾を、回避できれば、後は、
あたしのギガントシュラークで、
鹿目ナントカは、全部たたきつぶしてやるぜ!!」

 ヴィータも、闘志を露(あらわ)にする。

「では、今後の作戦の詳細だが……」

 クロノが話をまとめ、
作戦の細かい内容に関する会議を
開始した。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 約1時間後、クロノ艦から出撃したなのは達は、
地球型惑星の衛星軌道上、宇宙空間にいた。

「そろそろ、まどか軍団が来る!
 二人とも、迎撃準備は良い?」

 なのはは二人の戦友に声をかける。

「私はOK!
 はやて、シグナム達は?」

「予定通り、地上で住民の退避準備しとるよ。
 罠の方も、もう準備できとるそうや」

 フェイトの問いに、そう答えるはやて。

 なのはは、バリアジャケット(魔導師用戦闘防護服)を
エクシードモードに換装している。

 これは、JS事件の最終決戦時に使用されたタイプで、
機動力や回避性能は低いが、その代わりに最高の重装甲と
爆発的な攻撃力を秘めた、なのはが『本来の実力』を
自在に振るうための形態である。

 外見的には、約10年前に、ほむら達魔法少女と
共闘した際になのはが着ていたバリアジャケットに
良く似ている。――上腕部に、黒いリング状の
アーマーが、追加され、靴と袖の部分も硬い
アーマー(装甲)と化し、また今までの
バリアジャケットの特徴である
胸元の赤いリボンがなくなっている。

 ――部分的にごつい感じになったものの、
セクシーなビスチェ型インナーと、白地に青い
ラインの入ったロングスカートの組み合わせが、
可憐な印象を生み出している。

 ――天空を舞う、白い戦闘ドレスは
新人魔導師達の、憧れの的である。

 なのは達と、クロノ艦から出撃した
管理局の魔導師部隊は、全員が宇宙戦用の
補助デバイスを、両腕・両足・腰に、合計6個
付けていた。

 全員が、宇宙戦用ソフトウェアを自分の
インテリジェント・デバイス
(人工知能を搭載した魔導演算機器)に
インストールしていたが、戦闘中、敵の攻撃等により
デバイスが作動不全を起こす可能性を考え、
生命維持システムを含めた補助デバイスを装着していたのだ。

 気休め的な装備ではあるが、『もしもの場合の命綱』と
言えるため、その有り無しが、気持ちを変えるのだ。

「来た!」

 なのはが、全員に注意をうながした。

「まずは、話し合いで説得してみよう。
 話を聞いてくれればだけど……」

 フェイトが対応を提案する。

 惑星に接近してくる数億人の鹿目まどか軍団。

「待つんや、まどかちゃん!」

 はやてが、思念通話で話しかける。

 一斉に、はやてを見る数億人の鹿目まどか達。
――――こわいよ、これは。

 そして、軍団のリーダー格らしい一人の
鹿目まどかが、はやてに近づいてきた。

 その鹿目まどかは、いかにも、魔法少女らしい
かわいいピンクを基調とした魔法少女コスチュームを
着ている。――なのは達が、約10年前に共闘した
まどかも、同じ姿をしていた。……そして現在の
鹿目まどか軍団も、全員同じ姿である。

「あ、あのー、どちら様ですか?」

 リーダー格の鹿目まどかは、その外見通りの
――中学2年生の、女の子らしい
かわいいしぐさで、首をかしげると、
はやてにそう尋ねた。

「は?

 わ、分からんのか?

 ウチらのことが」

 はやては、リーダー格まどかの、
予想外のリアクションに思わず、逆に質問する。

「あ、はい。

 ええと……
 初対面だと思いますが……」

 答えを返すリーダー格まどか。

「つ、つまり、ウチらが、
年をとったから、誰か分からんと?

 そういう事なんかぁ――?!」

 この、はやての言葉には、
まどかでなく、なのはと、フェイトが即座に反応した。

「と、年をとったって……
 前にまどかちゃん達と出会ってから
正確に言うと約9年だったっけ?

 そ、そんなに変わったかな私達?」

 なのはが、フェイトに尋ねるように呟く。

「う〜ん。

 年をとったと言うよりも……

 はやては、ともかく、私となのはは―― 」

 ここで、フェイトはなぜか――
自分の胸と、なのはの胸と、
はやての胸を見比べて……

「おとなっぽい、体型になったと、
言うべきじゃない?」

 このフェイトの言葉に、
はやては、自分の胸を数十秒間、
じっと見つめてから――

「うわ――――ん!!

 フェイトちゃん!

 そ、それは、あんまりや――――!!!」
と大騒ぎするはやてだった。

「あのー、良く分かりませんが、
邪魔をしないでいただけますか?

 私は、宇宙に存在する
全ての魔女を滅ぼさなければ
いけないんです」

 まだ大騒ぎしているなのは達に
冷静に告げるリーダー格まどか。

 さすがに、真顔になる、なのは達。

「そう言われたら、
邪魔をしない訳にはいかないじゃない」

 なのはの、目つきが変わる。

「そう言うことやな」

「罪もない大勢の人々を見捨てる訳にはいかない」

 はやても、フェイトも顔つきが、戦闘モードに
変化していた。

「なら、仕方がありません。

 私の――魔女との戦いを邪魔するなら、
あなた達も、魔女の仲間として――――」

 いまさっきまで、少女のかわいらしさを
春風のごとく周囲に振りまいていた、
リーダー格まどかから、強大な魔力と、
禍々しい殺気が宇宙に放たれている。 

「――抹殺します!」

 リーダー格の鹿目まどかが、そう宣言した
とたん、いままで静止していた
鹿目まどか軍団全員が動き出した。

「交渉決裂やな!

 いくで、リイン!」

「了解です、はやてちゃん!」

 はやての指示に、一度飛んでから、
空中をユーターンしてくるリイン。