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スピカ@黒桜
スピカ@黒桜
novelistID. 28069
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先手必勝

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踊る会議の中、いつものようにフランシスと殴り愛をしていた俺はふと目の端に恋人の姿を映した
右手にはアルフレッドが同意を求め(そのふざけた意見はなんとかならねぇのか)左手にはバッシュが自分の意見を言えだのと説教をする(銃を持ってるやつに説教などされたくない)そして背後にはイヴァンが菊君はいつ僕の物になるのかなぁ、などとニコニコした凶悪な顔で立っている(菊がいつお前の物になったんだ、アイツは俺の物だ)
三人とも菊が青ざめて表情を失っていることに気付かないのか、その『自分なりの愛情表現』を続ける


それを見て俺は細く微笑んだ
俺達が付き合っていることは誰も知らない、得意の情報操作(笑)でそのように仕向けてきたのだから
身も心も欧米人には理解できないほど繊細で儚い菊にはあいつらの様な『愛情表現』は理解できない
もっと単純に、ひたすらに、溺れるほどに甘い愛を囁いてやらないと――
それに気づきそうなフランシスは会議ではいつも真っ先にケンカを仕掛けて菊への注意をそらすのが俺の仕事。
後はみんな馬鹿みたいに不器用な恋を伝えようとやっきになっている
――面白くてたまらないなぁ、菊。お前は身も心も俺の物なのに、


「坊ちゃん、余所見すんじゃないよ」
「黙れ髭、お前なんて見てなくても倒せる」
「よく言うねぇ」

最後にこちらをちらりと見た夜空の瞳と視線が絡んで、
俺はニヤリと笑って目を伏せると腐れ縁の野郎との戦いを再開する





そう、俺たちの関係は誰も知らない

作品名:先手必勝 作家名:スピカ@黒桜