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【池袋クロ】24時間耐久鬼ごっこ【新刊サンプル】

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対決編



「帝人君!君にリベンジ戦を申し込む!」
「分かりました受けて立ちましょう。」

 こうして臨也VS帝人のリベンジマッチが成立した。

***

「チキチキ!年末リベンジ戦!百メートル走リレー!!」
 ドンドンパフパフと一昔前の効果音を口で表現しながら、投げやりにやる気の無い正臣が大会の開催を告げた。
「えー、ルール説明。つっても簡単です。折原臨也チームと竜ヶ峰帝人チームで百メートルをリレーで走ってもらいます。以上。」
 因みに臨也チームは春の復讐戦なので、メンバーは折原臨也と彼の口車に乗せられた平和島静雄、岸谷新羅、紀田正臣である。
「すいません。体力ない僕とその面子で百メートル走とか出来レースもいいとこなんで、助っ人に園原さんと、正臣ください。あ、代わりに青葉君置いておきますんで。勿論、負けた場合、罰ゲームにも参加させます。」
 数秒考えた結果、臨也はそれに是を出した。たとえ青葉が帝人並みに運動音痴だったとしても、四人であるこちらのチームの方が一人あたりの走行距離は短く、また臨也と静雄でカバーできるとの考えからだ。

 しかしこれが事態の命運を大きく左右したのだった。

***

 決戦の場は来良学園校庭。
 各々ウォーミングアップを終え、終に対決の時を迎える。

 臨也チームの走順は新羅→臨也→青葉→静雄
 一方帝人チームは杏里→帝人→正臣である。

 キッチンタイマーをスタート代わりにし、各自配置に着く。
 じりじりと針が進み、ついにその時が訪れた。

ジリリリリリリリリリリイリ

 スタートの音と同時に杏里は駆け出す。新羅はそれから一瞬遅れての駆け出し。
 運動神経に差がある二人。ある程度差をつけて杏里は帝人にバトンを手渡す。しかし、帝人チームの勝負はここからだった。
 ほぼ同時に臨也の手にもバトンが渡ると、その差はあっという間に縮まり、逆に今度は帝人が突きはなされる番だった。
 そして臨也チームのバトンは青葉の元へ。
 その時だった。

「青葉君!待て!!」

 鶴の一声ならぬ帝人の一声。それだけでバトンを受け取った青葉の体は硬直し、動かなくなった。
「おい、ちょっと!何してんだよ!?早く走れ!!」
 後ろの臨也がいくらせっつこうとも、前の喧嘩人形がいくらにらみを利かせようとも、忠犬は主の言いつけを守り続けた。
 そしてようよう帝人が青葉を追い抜き、バトンを正臣に手渡すと

「青葉君、よし!!」

お許しが出た。
 しかし青葉の運動神経は並みである。正臣との差は離されることはなかったが縮まることもなかった。

 そして全ては静雄に託された。

「おおおおおおおおお!!!!」

 雄たけびを上げつつみるみる正臣の背後に迫る静雄。
 後に、殺されるかと思ったとこの時を振り返って正臣は語った。

閑話休題

 そして

「間にあええええええええ!!!」

 正臣の最後の気合で勝負の終止符はうたれた。
 静雄はこの時正臣の半歩後ろを走っていた。まさに僅差。
「帝人!なんとかやったぞ!あんまうれしくないけどな!!」
「お疲れ正臣。勝ちは勝ちだよ。」
「え、と。お疲れ様です」
 和やかに互いをたたえ合う来良とは逆に挑戦者チームの空気は不穏だ。
「ちょっと待て!こんなん認められるか!!」
 珍しく額に青筋を浮かべて、怒りをあらわにした臨也が帝人へと詰め寄る。
「何あの八百長試合!?やり直しを要求する!!」
「却下です。大体、こちらに僕がいて、そちらに静雄さんがいるんですから、これくらいのハンデはあってしかるべきです。
 それに、これで罰ゲームとか、すごくおいしいですよ。臨也さんの人気がまた急上昇しますね。羨ましいなあ。」
「おだててその気にさせようとか無駄だから。」
「最初に話を持ちかけてきたのはそちらでしょう?
 というか、ぶっちゃけ僕らよりそちらで罰ゲームしていただいた方が需要があるんですよ。その辺の製作者側の都合をきちんと汲み取って頂かないと困ります。」
 ね?とにっこり笑う帝人に臨也ははめられたことを悟った。

 最初から出来レースだったのである。

「罰ゲームの日取りは一月五日。ルール等概要はその時に説明します。
 それではみなさん、よいお年を。」