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つながっていた時間 その3

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※「つながっていた時間」いよいよラストです。ここで多少オトナ向け表現あります。OKな方のみどうぞ。



「もう黙って・・・」

咲はそう呟いて、自分から滝沢にキスをした。あの夏に日のように。あの夏の日から、彼のことを思う気持ちはぜんぜん変わってないよ、いや、むしろ。どんどん大きくなって、どんどん大切なものになって・・・。だから、さみしかった。会えなくてさみしかった。つらかった・・・。そんな思いをキスで伝えようと、咲は滝沢にキスを繰り返した。唇だけではなく、彼の額に、頬に、耳に、まぶたに、咲はキスを降らせた。

「あ・・・さき・・・」

滝沢は離れ離れだった時間を、この一年間フリーズしていた二人の時間を、やさしく溶かすような咲のキスに、身を任せているのが心地よかった。咲のやさしさが、体にじわじわと溶け込んでくるようだった。

「さき・・・咲のくちびる、あたたかい・・・」

「滝沢くん・・・」

「でも・・・ちょっとタイム・・・」
「えっ?ごめん、どこか痛む?」
「いや・・・・痛むっていうか・・・違うんだ、俺のジョニーが・・・」
「えっ??」
「反応しちゃって・・・」
「ええっ!?やだ、滝沢くんったら!」
咲は顔を真っ赤にして、キスをストップした。

「だって、咲が、いろいろなとこにキスするから・・・耳にまでするから・・・アレ、キョーレツだよ・・・咲に触れるのだってすっげー久しぶりだし、オトコとしては・・・ちょっと・・・反応するなってほうがムリ・・・」
「もうっ!」
咲は赤面して滝沢から体を離した。

二人は苦笑しながら顔を見合わせた。
「退院はいつくらいできそうなの?」
「あと一ヶ月くらいかかりそうだな。でも、フツーに歩けるようになるまでは、退院してからもうちょっとかかるだろうね」
「そっか・・・」
「心配しなくてもいいよ?」
滝沢は咲の頬に手を添えて、安心させるように微笑む。
「心配は、し、ま、す。でも、滝沢くんと会えるから・・目の前にいてくれるから。心配だけど、心配じゃない、です。でも・・・」
「ん?」
「毎日、お見舞いにくるからね?」
「うん!咲に毎日会えるなら、きっとすぐよくなるよ!」
「それに・・・」咲はちょっと黙ってから、言葉を継ぐ。
「毎日、キスするから・・・。覚悟してね?」
「咲・・・咲のキスなら、いつだって大歓迎だよ」
「そう?」
咲はいたずらっぽい目をして滝沢を見る。その瞳がなんとも艶っぽくて、滝沢はどきっとする。
咲は顔を近づけて、再び、滝沢の耳にキスした。
「うわっ!」
滝沢が体をぞくっっと震わせるのも構わず、咲は更に彼の耳たぶをそっとかんだ。
「ううう!さ、さき!?」
「お・し・お・き!」
「えっ?」
「この2ヶ月間、私に連絡してくれなかった、し・か・え・し!」
「ええっ??」
「毎日、耳にキスしちゃうから。覚悟してね、ジョニー」
「ちょ、ちょっと、咲、それ、ゴーモンに近い・・・」
「だ~め!おしおき、なんだから!」
あたふたする滝沢をしりめに、咲は楽しそうに笑う。


「でも、退院したら・・・」
「え?」
「滝沢くんが退院したら・・・ジョニーに活躍してもらうよ?」
「咲!?・・・それって・・・」
恥ずかしげに笑って、咲はもう一度滝沢の胸に顔をうずめた。


再び溶け合う二人の時間、二人の気持ち。
ううん、本当は、離れ離れの間だって、つながってたんだ。
この一年の間、二人の思いが離れたことなんて、一瞬だってなかったんだ。

滝沢は咲のもとへ戻ってこれた喜びをしみじみとかみしめていた。