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殺生丸さまの受難

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「あ・・・あなた・・・・」
その夜も、殺生丸は新妻のりんの体を愛撫していた。りんは苦しげに眉を寄せて首を振っているが、それは本当に苦しいわけではなく、快楽の極みゆえの表情だと、体を重ねた幾夜をへて、殺生丸にはわかっている。

りんの白い胸をその長い指で愛撫していた殺生丸は、唇をりんの耳に寄せてささやいた。
「りん。そなたの体はどこもあたたかい」
「あ・・・そこは・・・あなた・・・だめ・・・」
「だめではないだろう?これほど感じやすい体は初めてだぞ。妖怪ではこうはいかぬ」
「!?」
りんははっと息をのんだ。とたんにその身が固くなる。そして殺生丸の腕から逃れて、夜具のはしに身を離した。
「りん?」殺生丸はわけがわからない。
「・・・・殺生丸さま・・・・比べてるの?」
「うむ?」
「殺生丸さま・・・りんと・・・これまで抱いた妖怪の女の人を比べているの?」
「・・・・りん。言葉のあやだ」
「うそ」
「くだらん。りん。こちらへこい」
「いやっ」
「りん」殺生丸はりんを再び抱き寄せようと腕をのばした。しかし、りんはその腕を逃れてしまう。
「りん、いいかげんにせんか。比べてなどおらん」
「いや・・・殺生丸さま、他の女のひとのこと思い出してた・・・りんと抱き合ってる最中に・・・」
「りん、違うといっておるだろう。第一人間を抱いたのはお前が初めてだ」
「じゃあ、妖怪の女の人だったら、たくさん、抱いたんだ」
「りん。すべて、お前と会う前のことだ。第一、そんな昔のこと、いちいち覚えておらん」
「うそつき!」
「りん、くだらんことをいうな。さあ、早く続きをしよう。お前も感じていたではないか」
「いや!体でごまかそうなんて、ずるい!そんな殺生丸さまなんて嫌い!」
「・・・・・!」
りんは泣きながら、寝所を飛び出していった。
「りん・・・・」
途方にくれた殺生丸が一人、夜具の上に残された。


寝間着のままりんは廊下を走っていった。
(殺生丸さまのばかっ!)
涙がとまらない。
「りん。どうしたのじゃ?」
殺生丸の母が廊下の先に立っている。
「あ・・・母上さま・・・」
りんは母のもとにとびこんで、しゃくりあげた。
「りん?どうしたのじゃ?泣いていたら。わからんではないか。殺生丸と喧嘩でもしたのか?」
「喧嘩じゃないです・・・でも、ひどいんです・・・」
「よしよし。さあ、わらわの部屋へ行こう。ゆっくり話してみよ」
母は泣きじゃくるりんを抱くようにして自分の部屋へ連れていった。
(これは・・・殺生丸と何かあったに違いない。ほほほ。あいつめ。何をやったのだ?)
内心母はこれで息子をいじる材料が増えたとほくそえんでいた。

やっと泣き止んだりんから涙の理由を聞いて、母は正直(なんだ、痴話喧嘩か・・・)と思った。しかし、りんは至って真剣に悩んで傷ついている。
(面白いのう・・・)
そうは口に出せないが、母はりんという嫁が屋敷に持ち込んだこの小さな騒ぎが楽しくてしかたない。
(殺生丸め。甲斐性のないやつじゃ。女の扱いをまったくわかっておらんわ。しばらくいじめてやろう)
「りん。それは殺生丸が悪いのう。気遣いが足りんのじゃ、まったく。そうだ、りん。しばらく、ここにおれ。殺生丸を反省させてやればよい」
(ふふふ・・・殺生丸のヤツめ。どんな顔をするか楽しみじゃ)
母にとって息子はあくまでもいじる対象であった・・・。


りんが寝所を出ていった後しばらく呆然としていた殺生丸であったが、気を取り直し、りんを探しに廊下へ出た。しかし、りんがどこに行ったかはすぐにわかった。母の部屋の方からりんの匂いがする。母の部屋へ行こうとして、途中で結界が張ってあることがわかった。
(母上・・・どういうつもりだ)
大妖怪である母が張った結界は強烈で、殺生丸といえども無理やり体を入れることは難しかった。しかたなく、「りん!りん!」と結界の外から妻の名を呼ぶ。
「おや、殺生丸。どうしたのじゃ?」
母が満面の笑みをうかべて、廊下に出てきた。結界の中から楽しそ~に殺生丸を見ている。
「母上。わかっているだろう。りんを返せ」
「殺生丸。お前、りんを悲しませただろう?昔の女の話なぞして」
「・・・それは違う。りんを悲しませるなど、私がするわけがなかろう」
「ほう?でもりんは泣いていたぞ。お前が昔の女を忘れていないといって」
「な!?そんなことをいった覚えはないぞ。第一、私に「昔の女」なぞおらんっ!」
「では、なぜ、りんは泣いているのじゃ?」
「・・・・」
「殺生丸。女の扱いはまだまだ子供だのう」
「・・・母上。とにかく、りんを返してもらおう」
「それはできぬのう。りんはお前に会いたくないといっておる。母としては、りんが可愛いでのう。しばらく、りんは預かって面倒をみてやるから安心せい」
「母上・・・」
「それに、りんは泣きつかれてのう。可哀相に。いまやっと寝付いたところじゃ。今宵はこのまま寝かせてやれ」
「・・・・」
母はほほほと笑いながら、自分の部屋へ戻っていった。
殺生丸は唇を噛むしかなかった。
(りん・・・泣き疲れるほど、泣いたのか?私のせいか?)

「殺生丸さまなんて嫌い!」

先ほどりんから投げつけられた言葉が胸に苦い。

(私はただ、お前の体がすばらしいと。お前がいとおしいと。そう告げたかっただけだ)

殺生丸は力ない足取りで寝所に戻ってみたものの、一人っきりの部屋は味気なかった。先ほどまで、自分の愛撫に乱れていたりんの顔が浮かぶ。ここにはそのときのりんの甘い匂いが、まだこれほど豊満にあふれているというのに。

殺生丸は寝所にいる気にならず、外へ出て、夜空へ飛び上がった。りんがいない夜。一人の夜。りんが嫁いできてから初めてだった。以前は一人が当たり前で、それが心地よかったのに。せいぜい邪見が従者として後を追ってくるだけで、自分は闘う敵を求めて縦横無尽に飛び回っていた。それが生きることだと思っていた。それしか生きる目的はないと思っていた。

だが、今は。りんのいないことが一日とて耐え難い。ましてや、あんな形で離れ離れになってしまった。
りんを抱くことができない夜も、りんを妻に迎えてから初めてだと、殺生丸は思いあたった。



「殺生丸さま~、りんに、いや、奥方さまにがつんといってやったほうがいいのでは?殺生丸さまのような大妖怪ともなれば、妾の一人や二人いておかしくないのだと・・・」
そういう邪見は言葉の途中で殺生丸に思いっきり蹴られて、お空の星になってしまった。

もう三日である。母がりんを自分の結界に閉じ込めて、殺生丸に会わせないのだ。
(もう、我慢ならぬ)
そう思うのだが、りんが自分に投げた「嫌い」という言葉が呪文のように自分を縛っていた。
(もしもりんが、自分をもう好きではなかったら・・・・自分のもとを去るといったら・・・)
りんに無理やり会うと、その可能性を現実のものにしてしまうようで、怖かった。
しかし、もう三日である。殺生丸はいろいろな意味で限界であった。第一、りんは平気なのか。自分に三日も会えなくて平気なのか。やはり、りんは既に自分を嫌いになったのか・・・。

「やはり、もう我慢ならぬ」
作品名:殺生丸さまの受難 作家名:なつの