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隣人部「学園都市?」 または、とある世界のはがない

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ステイル



それから何日か経ったある日の昼休み、理科が珍しく俺達の教室に来ていた。

「小鷹先輩!理科は研究機関にお呼ばれされちゃいまして
 これからちょっと何日か学校に来れなくなっちゃいますんで
 皆さんに宜しく伝えて下さいね?」
「ああ、理科。分かったよ。しかし理科、お前大丈夫なのか?」
理科の顔は”身体検査”の時に比べても更にやつれ、目の隈が酷くなっていた。
「あはは、大丈夫ですよ小鷹先輩~。
 理科が行っている研究所というのは
 水穂機構AIM拡散力場研究所っていうんですけど
 大方の人達は良い人達ばかりで、理科には良くしてもらってるんですよ~?
 特に木山先生って女性研究者の方が凄く優しくてかっこいいんですよ~
 ですが何人かの方ですごい変と言うか、恐い人達が居て
 正直ちょっと怯えてます。
 この前も、研究所に来ていた陸上自衛隊の人達に睨まれちゃいまして。
 ですから小鷹先輩、理科が何か変なコトされちゃいそうになったら
 助けて下さいね?
 ああっあんなコトやこんなコトされちゃったらどうしましょうか~?」
「されねーから安心しろ」とりあえず否定しておく。

しかし理科の体調はマジで心配だ。
心身ともに負担になっているのが見るからに分かる。
やっぱり自分の信じていた方向とは反対に事態が進んでいるからだろうか。



その日の放課後、皆が集まったところで俺は理科が来れなくなった事を伝えた。
「そうか・・・じゃあしばらく理科は一端覧祭の準備に参加できんな」
夜空は一端覧祭の準備にあたって、各部員の役割分担表を作って来たようだ。

「ちょっと!何よこれ!私の負担が半端無いじゃないの!」
星奈が夜空を睨みつけて抗議した。
分担表には星奈が食材・食器その他全ての材料を調達する事になっている。
「仕方ないだろう肉。我々はレベル4とはいえ、
 今はまだちゃんとした奨学金を貰えていない。
 必然的に資金源である肉が調達も担当せずしてなんだというのだ」
「ちゃんと負担は分担しなさいよ!
 この表だとアンタ達は何もしてないじゃない!」
「あーわかったわかった、それじゃ我々が材料を調達する事にしよう。
 肉は金だけ出してくれればいい。それで応分の負担だ。文句は無いな」
「・・・ぐっ」ようやく星奈は夜空にATM扱いしかされてない事を悟ったが
星奈は夜空に言質を取られた格好になり何も言い返せないようだった。

「とにかく一端覧祭までもう時間はない!各自、役割表に準じて作業を開始せよ!」
「おう!」「しょうちしました」「クックック」「命令しないでよバカ夜空!」



と、突然部室のドアが開いた。
見ると、身長2Mはありそうな、コートを羽織った赤毛の大男が立っていた。
片頬にはバーコードの入れ墨が彫られ、タバコを口にしている。

「ま、まぁ!ステイル特使様!」星奈が突然叫んだ。
ステイル?どっかで聞いた事がある名前だな。
「ああ、ここが隣人部という所かね?ちょっと訊ねたいのだがいいだろうか?」
「はいっ!何なりとおっしゃって下さい!」
なぜか星奈が今までに聞いた事の無いような猫なで声で
しかも下手口調になっている。
「・・・誰だ貴様は。それと肉、気持ち悪いぞ」
話を中断された形になった夜空は不機嫌そうに言った。
「ちょっとアンタね!失礼よ!この方を誰だと心得てるのかしら!?
 イギリス清教特使のステイル様よ!」

それを聞いてようやく、先日上条の家に行った時にインデックスが
ステイルの名前を出していたのを思い出した。
「あの~、お前、もしかしてインデックスの知り合いか?」恐る恐る訊いてみた。
「何?貴様こそインデックスを知ってるのか?」ステイルが驚く。
「ま、まあな・・・この前上条んトコにお邪魔した時に知り合ったんだけど」
「ふん・・・上条とつるんでるのか貴様は」ステイルは忌々しげに俺を睨んだ。
「まあいい、それなら話は早い。ここに志熊理科は居るか?」
「何だ?理科に用事なのか?・・・生憎だな、今ここに理科は居ない」
夜空は不快感を隠しもせずに応じる。
「そうか・・・しかし隣人部の部員である事は間違いないのだな?」
「そうだ」
「じゃあ理科の持ち物はここにあるだろうか?」
「無い。理科の持ち物は理科室にあるだろうが。分かったらさっさと失せろ」
夜空はステイルを睨みながら、にべもなく言った。
「なるほど・・・失礼した。む・・・?」
ステイルは、何かに気付いたようだ。
視線の先には、小鳩が手にしている粉ジュース入りの透明ケース。
最近の小鳩は、マイブームの粉ジュースを
わざわざケースに入れてまで持って来ている。
「君・・・そのケースの中身は何だ?」ステイルはそう小鳩に問いかける。
「クックック・・・これは我が魔族の神聖なるエッセンス「小鳩、ちゃんと話せ」」
俺は嘆息しながらもステイルに、コイツがただの駄菓子である事を説明した。

「ふむ・・・日本ではそのような菓子を売っているのか。勉強になった」
そう言うと、ステイルは何事も無かったようにきびすを返して去って行った。



「っちょっと夜空!ステイル様の機嫌を損ねちゃったらどうするつもりよ!
 ステイル様が聖クロニカ学園を立て直す為に手助けしてくれたのよ!
 つまりステイル様は聖クロニカ学園の救世主なの!絶対なの!
 もしステイル様が怒っていたらアンタは学園に居られなくなるわよ!」
星奈は夜空に食って掛かるようにして怒鳴りつけた。
「ああうるさいぞ肉。ステイル様ステイル様ってバカの一つ覚えのようだな。
 大体あんな胡散臭いヤツがイギリス清教特使というなら
 イギリス清教自体胡散臭いものだな。
 そんな連中の支援なぞ、こちらからお断りだ」
「何よバカ夜空!アンタなんかもう知らないんだから!
 ステイル様を怒らせたら私がまずパパに怒られるのよ!?
 どうしてくれんのよ!」

仕方ないので俺は二人をなだめようとして、ふと思いつく。
「まあまあ、ちょうど俺も知り合い伝手でステイルの事知ってるしな、
 そいつを通じてステイルの機嫌直してもらうように言っとくよ」
「そういえば小鷹・・・貴様はあの大男と知り合いなのか?」
「そうよ小鷹!なんでステイル様の事知ってたのよ!
 それにインデックスって誰よ?」
・・・二人に睨まれて、墓穴を掘った事に気付き思わずたじろいでしまった。

しかし、ステイルはなぜ理科の持ち物を探していたんだろうか?