二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

隣人部「学園都市?」 または、とある世界のはがない

INDEX|19ページ/35ページ|

次のページ前のページ
 

理科



翌日の朝。
朝食を作っていた時に丁度放送していたニュース番組で、速報が入って来た。
「・・・今日未明に、水穂機構AIM拡散力場研究所の新棟付近で爆発があり
 負傷者が多数出た模様です・・・アンチスキルは現在捜査に当って・・・」
え?何だか聞き覚えのある建物だな・・・誰から聞いたんだっけな。
その時は、俺はそのニュースをスルーしてしまった。



放課後、俺と夜空はいつものように部室へ向かった。
すると、部室のある教会入り口で誰かが倒れているのに気付く。
「おい・・・アイツはまさか・・・!?」
駆け寄ると、やっぱり理科が、全身傷だらけになり
服が少し焦げた状態で横たわっていた。

「おい!理科ぁ!!!・・・大丈夫かおい!」
俺が理科を抱き上げ、頬を少し叩いてみると、理科の目がうっすら開いた。
「・・・こ、だか、先輩・・・」
「理科!しっかりしろ!とにかくまず部室へ運ぶぞ!」
「・・ああ、分かった!」夜空も声を震わせつつ頷いた。

俺と夜空は二人掛かりで理科を部室に運び、ソファに横たわらせる。
部室には既に星奈と幸村と小鳩がいたので
水とタオルを持ってくるように指示を出す。
また、保健室が部室からやや遠いので、保健の先生に
担架を持って来てもらうよう連絡した。

「小鷹・・・先輩。ご迷惑おかけして・・・申し訳ありません」
「いいって気にするな理科。それで、何があった!?」
「はい・・・私の居た研究所が・・・何者かに襲われてしまいまして・・・」
そこでようやく今朝見たニュースを思い出した。
「まさか、水穂機構AIM拡散力場研究所で爆発があったっていうのは・・・」
「その、通り、です・・・何者か・・・軍隊みたいな人達が襲ってきまして・・・」
幸村達が持って来た水にタオルを浸して、理科の顔や体を拭う。
「私も捕まっちゃいまして・・・隙を見て、車から逃げ出せたんですけど・・・
 目的は私と・・・これみたいだったらしく・・・」
そう言うと理科は、懐から透明のケースを取り出して俺に渡した。

「何だ、これは?」
「何も聞かずに・・・隠し持っていてくれますか・・・?大事な物です・・・」
「わ、分かった」俺は自分のズボンのポケットにそれをしまった。



その直後。
いきなり「ドン!」とドアが思い切りよく開き
そこから銃を構えた重装備の兵士らしき一団が溢れ出し、たちまち俺達を囲んだ。
そいつらは全員陸上自衛隊の制服を身に着け、顔をマスクで隠している。

「すぐに志熊理科を引き渡せ。さもなくば撃つ」
隊長格らしき男が、どこか醒めた口調で言い放つ。
その男の目つきは異常に鋭く、何故か五芒星が描かれた白手袋をはめていた。
「おい!お前ら!いきなり来て何言ってんだよグガッ!」
俺は抗議の途中でいきなり銃の台尻で殴りつけられた。
「大丈夫か小鷹!?」
夜空が叫んで駆け寄り、また星奈達が能力を使おうと手を掲げたその時
兵士の一人が手にしていたハンドスピーカーから高周波のような音が発せられた。
「なにっ・・・これ!?頭が痛い・・・!演算ができな・・い」
たちまち俺達全員は兵士達に羽交い締めにされてしまった。

「隊長!コイツ、”アレ”を持っていません!」
理科の服を弄っていた兵士が隊長に報告する。
「ふん・・・どこに隠した・・・む?」隊長が目をテーブルの上に向けた。
テーブルには、いつも小鳩が持参している粉ジュースのケースが置いてあった。
「そうか、わざわざ分かりやすい所に置いてくれたのだな。
 ふむ、これで用は済んだ」そう言うと、粉ジュースのケースを
大事そうにコートの内ポケットにしまった。
そして理科を抱えて一瞬で兵士全員が外に消えて行ってしまった。
それと共にあの高周波も止んだが、俺達はしばらく身動き出来なかった。

何分か経って、俺達は頭を振りながらもようやく立ち上がった。
「クソ・・・あいつら何者だったんだ!?」口の中に苦い物がこみ上げてくる。
「ああ、分からん。しかし、あの音が鳴った時になぜか能力が使えなかった・・・」
夜空が悔しそうに言う。見ると、夜空の足がガタガタ震えていた。
「全く、肝心な時に演算が出来なくなるなんて・・・」星奈も涙目になる。
「わたくしも、頭が痛くなって何もできませんでした・・・
 武士としていっしょうの不覚」
「あんちゃん・・・くやしいばい」幸村と小鳩も悔しさを滲ませた。



「くそ!!!理科を取り返すぞ!」俺はテーブルを拳で叩きながら叫んだ。
「でも、どうすればいいのよ!?ジャッジメントやアンチスキルに届けるの?」
星奈が言うのはもっともだ。
この学園都市では警察がおらず、その代わりとしての風紀委員や警備員の
レベルがどの程度なのか分からない以上、下手に動けない。
「とにかくだ・・・理科が何者に誘われたのかを知るのが第一だ」
そう言うと夜空は、頭をさすりながら懐からケータイを取り出して弄り出した。

「小鷹・・・理科がいたのは水穂機構AIM拡散力場研究所という所なのか?
 何か以前に、理科が小鷹に話していた事があれば教えてくれ」
「そうよ小鷹!この際、隠し事はなしよ!
 それに理科から何を渡されたのよ!?何でアイツらは
 小鳩ちゃんのお菓子ケースを奪って行ったのよ!?」
「いや待て待て!いっぺんに言われても困るよ!
 ってか理科に関して俺が知っているのはそれ位だけど。
 そういや理科から預かったものって何だ・・・?」
俺は懐から理科に貰った物を取り出した。
見ると、ケースの中に粉末が入ってるみたいだ。
それで連中は勘違いして小鳩の粉ジュースのケースを持って行ったんだな。

「小鷹・・・何よそれ?」星奈がしげしげとケースの中身を見つめる。
「まさか麻薬の類ではないだろうな?」
夜空も半目になって俺とケースを交互に見やった。
「マジかよ!?ってか俺はやってねえぞ!」
「さすがあにき、くすりのたぐいもじざいに使いこなすのが
 しんのおとこなのですね」
幸村が勘違いしたまま暴走しかけている。ダメだコイツ早く何とかしないと。
「まあそれは置いておいてだ、小鷹。後できちんと調べたほうがいいだろう。
 とりあえずそのAIM拡散力場研究所という所に当ってみるぞ。
 確かニュースでは火事に遭ったのは一部だけで
 本館には被害は無かったそうだから行けば何か分かるだろうな」
夜空はケータイを使って位置情報を検索し、学園からのルートを調べた。

「ここから二学区程北東に行った所か・・・」
「よし行こう!もう時間が無くなっちまうぞ!」