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隣人部「学園都市?」 または、とある世界のはがない

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始まりの説明・2



「話を続けると、要は理科に自らの能力を芽生えさせて、
 しかる後に組織が美味しい所を持って行こうとしたのよな。
 しかし我らもそれに気付いた。
 このまま聖クロニカ学園に彼女を置いたままでは、彼女の身が危ないとな。
 そして彼女を利用して、この日本に存在する大仕掛けの鍵を開けたなら・・・
 少なくともこの東京が危ない事になるのよな。
 そして案の定、奴らは第三次大戦が勃発する前日に
 聖クロニカ学園に火事を起こして、そのどさくさに紛れて理科を拉致し
 理科の研究成果も全て持って行こうと画策したのよな。
 しかし我らの防御策が功を奏し、理科を何とか逃す事に成功した。
 その後で、理科の安全の為にもあえて
 学園都市による隔離下に置こうと企図したのよ。
 我らはイギリス清教の傘下にあるから、その程度は雑作も無いことなのよな。
 お陰で理科も学園都市の研究所に囲われた状態となりて
 我らも多少安心出来よう。
 そう思っていたのが、そうは問屋が下ろさなかったのよな」

俺はそれを聞いて、怒りが沸々と込み上げてきた。
「・・・何だよ、それじゃアンタらの都合で理科の人生が振り回されて、
 学園も燃やされて、さんざん人の都合を俺らに押し付けてくれた上に
 このザマかよ!!!」
俺は思わず建宮の胸ぐらを掴んで叫んだ。
「まあ怒るな鷹やん。鷹やんのマジギレ顔で俺達もマジでブルっちまうぜよ」
全然ブルったように見えない土御門が俺をなだめようとする。
すると、隣の席でバードウェイがコホっと咳払いした。



「続きは私に話させてもらおう。
 肝心なのは敵の組織の正体だ。
 諸君らは、フリーメイソンというのを聞いた事があるか?」
「フリーメイソン・・・欧州で幅を利かせている秘密結社の代名詞だな」
夜空が顎に手を当てながら答えた。
「そうだ。石工結社(フリーメイソン)とは、その昔ユダヤ人の石工達が
 自らを守るために組合を結成し、それは近世に入ってから
 思想的団体に変容したと一般的に言われているが
 実際は、最初からユダヤ人などではなく、中世の先鋭的思想家や科学者が集まって
 自由な思想や発想を生み出すためのサロンだった。それが次第に結束力を持ち
 近代に入って、彼らは組織内に更に目的を純化させた啓明協会(イルミナティ)を
 結社内に創設し、またその実戦部隊であるグレムリンを生み出して以降
 欧米における近代科学の進歩や近代社会建設の、陰の立役者となった。
 しかしそれだけでなく、彼らは”科学”と従来欧米で用いられてきた”魔術”を
 融合させる事を試みてきたのだ。
 全ては、この世界の真の支配者になるために」

「ま、待て待て!その石工結社だか啓明協会だかが
 理科を狙っているとでも言うのかよ!?
 そんなデカイ組織が理科を狙うなんて有り得なくねーか!?」
「小鷹の言う通りだ。それに今、”魔術”と言ったが、”魔術”とは一体何だ?」
夜空も同意する。魔術なんて中二病どころか邪視眼もいいところだ。

「”魔術”とは、読んで字のごとくだ。いわゆる魔法だとか呪術だとかも含まれる。
 話せば長くなるが平たく言えば、その昔、原石と呼ばれる
 天然の能力者に対抗するために普通の人間が
 特殊な能力を使えるように考えだされた物だ。
 そしてそれは世界中の宗教団体や魔術結社が今も使用している。
 ちなみに私は「明け色の陽射し」という魔術結社のボスを務めている」

彼女は一例だと言って指先を立て、指先から火や水を噴き出して見せた。
「魔術じゃぁ・・・」
小鳩があっけに取られたようにバードウェイの指先を凝視していた。
確かにこんな中二病的話は小鳩も大好きだが
まさか現実にそう言うモノがあるとは・・・

「さて、実のところ志熊理科の能力は一般的には霊能力と言って、
 学園都市での能力と”魔術”の境界線にあるものだと言っていい。
 すなわち連中にとって扱いたくなる能力なのだ。
 それに知っているかも知れないが、この手の能力者は実は数が少ない・・・
 彼女レベルのパワーを持った能力者は実際他の組織に囲われていて使えないのだ。
 従って彼女に目をつけるのも無理は無い。
 もし、啓明協会の企みが現実になったら
 世界の宗教は十字教含め全滅してしまう。
 学園都市も同じだ。彼らの目の上のタンコブだからな。
 真っ先に滅ぼしておきたい所だろう。
 そうなれば世界のパワーバランスが崩れ
 世界は4度目の世界大戦によって滅びかねない。
 であるからには、我々は連中の企みを阻止せねばならないのだ」

俺は正直、与太話どころでない位酷い妄想を聞かされている気分で
正直殆ど理解出来なかった。
夜空や星奈だってまともに理解出来ているかどうか怪しい。
でも、信じるしか無いのだろう・・・理科を救う為に。

幸村は努めて無表情だが足が少し震えており
小鳩は酔ったのか少し青ざめているようだ。
インデックスや上条は、全てを把握済みであるかのように表情を消し
鋭くした眼差しを窓の外に広がる夕暮れに向けていた。



隣人部の、かつてない長い夜が始まった。