二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

隣人部「学園都市?」 または、とある世界のはがない

INDEX|24ページ/35ページ|

次のページ前のページ
 

作戦会議



「それについては、我ら天草式に任せて欲しいのよな」
いつの間にか建宮が地図らしき大きな巻物を持って来ている。
建宮の周りにもいつの間にか知らない男女十数名が集まっていた。
他にも、シスター姿の女性が何人か来ている。
「ど、どうも。私はアニェーゼ=サンクティスといいやす。
 我々はイギリス清教から派遣されやした特殊部隊ってトコです。
 天草式を補佐しにやってきやした。どうも宜しくお願いしやす!」
髪をドレッド風にしたそのちっこいシスターは、なぜか下町刑事風の口調だった。

「まあとりあえず、この地図を見て欲しいのよな」
建宮はそう言うと、テント内のテーブルに地図を広げた。
「これは・・・大日本沿海輿地全図ではないか」夜空があきれたように言った。
「そうだ。しかしバカには出来んのよな。
 この地図には魔術的な仕掛けがしてあるのよ。
 具体的には、地図中に特殊なポイントが記されてある。それは渦として存在し
 渦と渦の間を瞬時にワープ出来るような仕掛けもあるのよな。
 しかしそれだけじゃないのよ。その渦の性質は・・・
 いわば時空に開けられた穴よ。
 つまり異界への出入り口としても使えるのよな」

「それじゃ・・・AIMバーストを召還しようとしたら、」
「その通りよ。渦を使うのが賢明なのよな」
俺達は、さらに東京や学園都市付近を拡大した地図を広げた。
バードウェイが地図を指し示しながら
「敵は、実は日本政府内にも深く浸透している。
 当然だ、アメリカ政府の創立から深く関わっている奴らの事だ。
 日本の敗戦以来、その手の工作は児戯に等しいというわけだ。
 そして奴らは日本の霊的防衛の弱点を知り尽くしている・・・
 奴らはただ機が熟すのを待っていただけなのだ」
「そうか・・・そうなれば、東京に於ける霊的防衛の根幹と言えば」
建宮は指で地図の一点を指し示した。
「自衛隊、朝霞駐屯地」



「確かにそうだにゃー。ここなら丁度学園都市の鬼門に位置しているし
 学園都市ぶっつぶすには丁度いいんだにゃー」
「だけどよ、これはマズいだろ!?だって陸上自衛隊の駐屯地じゃねーかよ!?
 さすがに自衛隊の人達も黙って敵のする事を見過ごすわけには・・・」
「いや、それが少し事情が異なるのだ」バードウェイは一呼吸おいて、
「実は・・・自衛隊の幹部クラスがこの陰謀に参加している、と言ったら?」
「な、何だって・・・?」俺達は絶句した。

「確かに、我々の研究所では最近、”体晶”関連の研究もそうだが
 防衛技研だけでなく、自衛隊の実戦部隊の長もやってくるようになった」
木山先生も、顎に手を当てて思い出すようにして続ける。
「特に変な奴が居たな。そう・・・手に白い手袋をはめた不気味な男だ。
 その手袋には五芒星が記してあった」
「五芒星!?そいつは俺達の部室を襲って理科を奪って行った奴だ!」
なぜか土御門も、一瞬もの凄い顔つきになっていた。
「そ、そいつの名前はなんて言ってたんだぜよ?」
「うーむ、思い出せないが確か一等陸佐だ。自衛隊の中央即応集団付だとか」
それを聞いた土御門はテントからそっと出て行き、上条が後を追って行った。
「間違いないのよな。そいつが今回の事件のキーマンよ」
「恐らく理科を襲った連中もその自衛隊のなんとか集団なのだろうな」
夜空は憮然として腕を組み直した。

「手に記す五芒星は、陰陽道に於ける五行の象徴なんだよ!
 または安倍晴明判とも言うけど、その人が手に付けているという事は
 エレメンタルの制御による魔術の行使を意味していて
 恐らくは魔除けだけでなく式神を召還したり
 魔術攻撃に使う事も可能なんだよ!」
いつの間にか来ていたインデックスが説明に加わっていた。

外に出て行った土御門と上条が気になったので、俺も外に出てみた。
「土御門・・・それに上条、そこに居たのか」
見ると土御門と上条が並んで、研究所前の広場にあるベンチに座っていた。
俺も隣に座る事にする。
「鷹やん・・・これは俺達にとっても重要な戦いになりそうだぜよ」
土御門は地面を睨みつけた。
上条も、腕組みをしながら黄昏れた空を見上げている。
「何でも、土御門と例の一佐とやらには昔からの因縁があるんだってさ」
「ああ・・・我々土御門家はその発祥を鎌倉時代にまで遡るが、その頃より
 土御門家一門と、別の一族とは日本に於ける陰陽道の覇権を巡り戦い続けて来た。
 恐らくその一等陸佐は、その別の一族の末裔である可能性が高い。
 俺は数百年の因縁にケリを付ける時が来たのかも知れないんだぜよ」

「なあ羽瀬川・・・土御門も俺も、実は以前から色々な魔術師と戦って来てんだよ。
 だが俺達の戦いの前提にあるのは、あくまでも一般人を巻き込まないってことだ。
 だから今回の戦いも、出来ればお前ら隣人部を巻き込みたくはない。
 もし例の一佐が現れたら、その時は遠慮なく俺らに任せてくれないか?」
「そうか・・・色々大変なんだな」俺は小さく嘆息すると、二人を見つめた。
「俺達は理科を助ける事に全力を注ぐ。その魔術師の事はお前らに任せた。頼むぜ」
「おうよ!」「任せとけ!」二人の威勢のいい掛け声が挙がった。

「時間だ!準備出来次第、朝霞駐屯地に殴り込む!
 召還の刻限は羅喉、つまりあと3時間半後なのよな!
 それまでに雌雄を決するのよ!」
建宮が号令を掛け、それに従って天草式の一団が整然と動き出した。
アニェーゼ率いるイギリス清教部隊(マリア達含む)と、バードウェイの一団。
それに上条、土御門、インデックス、ステイル。
そして俺達隣人部。
それぞれが偽装したバスに分乗し、朝霞駐屯地へ向けて出発した。
もう既に、満月が高く昇っていた。