二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

隣人部「学園都市?」 または、とある世界のはがない

INDEX|35ページ/35ページ|

前のページ
 

僕は友達が少な・・・



「小鷹!ブラックスターパフェ2つ追加ね!」
「小鷹先輩!ZZガムダンホットケーキ1つオーダー入りました!」
「あにき、アプリコットティー4つおねがいします」
「クックック、闇の半身よ、ダークフレイムラズベリーパイ2つじゃ」
「あははー!生クリームぶちまけちゃったーーーあははー!」

「をおい夜空!!!こんなに忙しいのに何で手伝わねーんだよ!」
「あほか小鷹・・・私は猫を制御するのに忙しいと言っておろうが」
そう言う夜空は、一応メイド服を着込んではいるものの
メイド猫喫茶に仕立てた部室の隣にある教会厨房の隅で
椅子に座り半目でふんぞり返っているようにしか見えない。
「って大体猫操ってる風に見えないんですけど!?
 猫がみんな好き勝手にうろついてるだけにしか見えないんですけどー!?」
俺が半泣きで抗議しても、夜空は全く意に介していないのだ。

何しろ、この一端覧祭が始まってまだ二日目だというのに
この隣人部によるメイド猫喫茶は聖クロニカ学園随一の繁盛ぶりを見せていた。
まあ当たり前かも知れない。
何しろ見た目だけなら俺を除く部員全員が美少女で、
さらに全員メイドコスでレベル4の能力を実演しながら
来客者に給仕するというのだから、注目度は高いだろう。
しかも天馬さん・・・学園理事長が大々的に広告を打ったものだから
もう学園都市内外からメイドコス姿の部員見たさに殺到していて
噂では既にネット上で隣人部ファンサイトが幾つも立ち上がっているとの事だ。



「はぁ・・・やれやれ」
仕事が一段落した所で、俺は厨房を幸村に託して外にでた。
店内には、丁度上条達が特製ホットケーキサンドセットを食べているのが見える。
安上がりにインデックスを満足させる為、生地に芋をふんだんに混ぜたやつだ。

「よっ、上条」
「おう、羽瀬川か。どうやら儲かっているみたいだな」
「ははは、どうにかな」
「むぐむぐ・・・このホットケーキ美味しいんだよ!」
「何よここ・・・学舎の園にある喫茶店よりも美味しいじゃない!」
「ははっ、常盤台中学のエースにそう言ってもらえると嬉しいね」
「あんたも喋るようになったわねー。
 初めて会った時には変にオドオドしてたけどさ」
そういえばそうなのだ。上条達に会うまでは、
どうも同じ世代の人間と喋っても話が合わないというか
徐々にそういうのが積もり積もって人と喋るのが苦手になってしまっていた。
しかし、彼らに会ってからは段々そういうのが減っていき、
そして半月前のあの事件以来、俺は自分の中の何かが変わったように思える。
具体的には、何かを信じる事ができるようになった・・・というか。

「それで、上やんの能力判定はどうだったんだにゃー?」
「ああ、えーとだな・・・未だにレベル0っていうか・・・」
「何よそれ?レベル4クラスの能力があるってアンタ言ってなかった?」
そうなのだ・・・結局、あの事件の後に様々な研究機関を通じて
能力を測定してもらったのだが、一応自分の能力は
「能力奪取(スキルスティール)」という非常に特殊なものであるのは確かだが
何しろ他の能力者の能力を拝借するという、自己完結しない能力なので
判定自体は結局「レベル0」でしかないのだ。

という訳で、そういう事情を上条達に話すと
全員一様にがっかりした顔になり、それからフォローするように
「まあ、俺もこんな右手持っているけど相変わらずレベル0だからよ」
「そうだにゃ~、俺もレベル1だけど気にしてないんだぜよ」
「そ、そうよ!私もレベル1から始めてレベル5になったんだから!」
と、励ましてくれたので純粋に嬉しい。

「あっ御坂さーん!」
と、声が掛かった方を見やると、そこには女子中学生らしき3人が手を振っていた。
「ええっ!?佐天さんに初春さんに黒子?どーしてここに?」
「へへー、ココってネットでも超有名なんですよー。
 レベル4美少女が集うメイド猫カフェって!」
黒髪ロングの女の子がドヤ顔で言う。あれ?この声どこかで・・・
「凄いですよね~。猫とメイドって2大癒しキャラですからね~」
そうつぶやきながら近づく猫に微笑む女の子は、頭がお花畑になっているんだが。
「お姉様、ここはメイド服の試着コーナーもあるとの事ですの。
 是非に、是非に!着て下さいまし~!」
なんか前に会った事のあるようなツインテールの女の子が御坂に迫る。
「ぐぇっふぇへへへ、お姉様と私とでメイドごっごしますのぐへへゲフ!」
「私は着ないっつーの!」御坂がツインテ少女の頭に見事な踵落しを決めた。

「さあさ、私達もお茶にしましょ!
 あ、ウェイトレスさーん!3人お願いしまーす!」
佐天と呼ばれた女の子が、近くを通りかかった星奈に声を掛けた。
「はぁい☆おかえりなさいませー、ご主人様♡3名様ですねー」
初日は何だか恥ずかしがっていた星奈も
今ではメイド口調が完全に板に付いているが、あれ?似合い過ぎじゃね?
「それじゃあご主人様☆こちらにどーぞー♡
 オーダーは何になさいますかぁ?」
「そーねー、初春は何にす・・・あれ?」佐天さんが何かに気付く。
星奈も何かに気付いたようだ。・・・まさか!?
「「ふぇえ?同じ声ー!!??」」佐天さんと星奈の声が完全に一致・・・

佐天さん達がスーパーフェータルアタックパフェを3つも注文したので
急いで厨房に戻る事になった。
「あ、羽瀬川!ちっとばっか後でいいか?」上条が訊く。
「ああ、じゃあ店終わってからな!」と俺は応えた。



今日の分の一端覧祭が終わる時刻、俺は最後の後片付けをしてから
聖クロニカ学園教会のすぐ隣にある公園に向かった。

「よお、羽瀬川」
「んー何だ?上条」
「これを託されていたのを忘れてたんでな」
と言って、手にしていた手紙を俺に渡した。
「これは・・・父さんからの手紙だ」
「ああ、羽瀬川隼人さんからだ。
 実は先週、ちょいとした用でヨーロッパに行ってたんで
 ついでに東欧に居る隼人さんに会ってきたんだ。
 んで、隼人さんもしばらく日本に帰って来れねえってさ」
「そうか・・・」
「で、この前の事件に付いても隼人さんに話した」
「まじか!?・・・で、何か言ってただろうか」
「いや、何も。
 でもな・・・隼人さん、喜んでたみたいだったぜ」
「何でだ?」
「息子も成長したな、とさ。特に、友達が増えて何よりだと」
「と、友達ぃ!?」
「そうさ。昔の羽瀬川は友達が少なかったんだってな。
 それで隼人さんは心配していたらしいぞ。
 でも、今は違う・・・って」
「そうなのか・・・?」

「ああ、その証拠に」と、上条は俺の後ろを指差した。

俺も振り返ると、そこに隣人部全員が俺を待っていた。
「小鷹、私達はこれから明日用の買い出しに出る。小鷹も手伝え」
何故か夜空が少し照れながら、それを隠すような口調で言う。
そして星奈も、理科や幸村や小鳩やマリアも、みんな微笑んでいた。
「ああ、わかったよ」

そして俺は上条の方に向き直った。

「そうだな。
 今の俺には、友達が少な・・・くない」