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ゆらのと

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第一部 一、


灰色がかった大きな雲が太陽をゆっくりと隠し、欠けて細い線のようになった黄色い光までのみこむと、下界には影が落ちた。
さっきまで陽の光を受けて白く輝いていたススキの穂が、一転して薄暗くなり冷たい風の吹く中、どこか悲しげに揺れている。
その自分の背丈と同じぐらいの高さのススキを無造作に押しわけながら、銀時は進んでいた。
どこか目指すところがあるわけではない。
行きさきはない。
行くあてはない。
ただ腹立ちのままに歩いていた。
「坂田!」
うしろから呼びかけられて、ビクッと震える。
まだ声変わりしていない少し甲高い声。
振り返らなくても、その声の主がだれなのかわかった。
驚きで足が止まる。
けれど、次の瞬間、足を踏み出した。
「坂田、待て!」
無視して歩き続ける。
しかし、呼びかけられるまえよりは歩く勢いは落ちていた。
声をかけてきた者は走っているようだ。そんな音がうしろから聞こえる。
やがて追いつかれた。
「坂田!」
腕をつかまれた。
足を止める。
眉根を寄せ、思いきり不機嫌な顔を作って、隣を見る。
そこには、桂小太郎がいた。
走ってきたせいで桂は口で息をし、その胸は短い間隔で上下している。
銀時は口を開く。
「……放せよ」
にらみつけた。
たが。
「松陽先生が心配していたぞ」
桂はまったく怯まずに言った。
その顔は整っていて、優しげで、身体つきがほっそりとしていることからも、少女のように見える。それも、凛としたとびきりの美少女のように。
けれど、桂は少女ではなく少年である。
しかも剣の腕前に秀でていて、同世代の少年の中で桂と立ち会って勝てるのは銀時ぐらいだ。
「先生と喧嘩をしたそうだな」
「……」
そのとおりだ。
「詳しいことは知らないが、先生はおまえのことをすごく心配しているし、おまえに帰ってきてほしいと思っているみたいだ」
それなら、今ここにいるのは桂であって松陽ではないのは、どうしてなのか。
松陽が銀時を捜していないからではないのか。
家を飛び出した銀時のことを心配してなんかいないのではないか。
桂の言ったことはデタラメだ。
そう銀時は思い、口を強く引き結ぶ。
すると。
「先生もおまえを捜してる。ふたりで一緒に捜すより別々に捜すほうがいいと思ったんだ」
桂は銀時の考えていることを見透かしたように言った。
松陽が捜している。
それがわかって、その姿を想像して、銀時の心は激しく揺れた。
しかし。
「うるせェな!」
そう怒鳴り、桂につかまれている腕を力いっぱい振った。
桂の手が放れる。
だが、それだけでは済まず、銀時の力が強すぎたらしくて、桂の身体は吹き飛ばされた。
さらに桂はうしろへと倒れそうになり、しかし、どうにかといった様子で踏みとどまった。
驚いた顔をしている。
作品名:ゆらのと 作家名:hujio