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ゆらのと

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茶室の軒下に行く。
足を止め、茶室に背を向けて立つ。
露地には常緑樹もあるが、その生い茂る緑の葉も曇り空の下では陰鬱に見える。
銀時が近づいてくるのを感じた。
もともとたいして離れていなかったので、すぐに距離は詰まった。
さっきより近くにきた。
それを認識したときには肩をつかまれていた。
え、と思う。
直後、茶室の壁へと押しやられる。
「うわッ……!」
壁に打ちつけられて、背中に痛みが走る。
なにがなんだかわからない。
混乱しつつ、銀時の顔を見る。
その顔はすぐそばにあった。
あまりにも近い。
驚いて息を呑んだ。
顎をつかまれる。
次の瞬間、口をふさがれた。
唇に銀時のそれが押しつけられたのを感じた。
逃れようとする。
けれど、茶室の壁に押しつけられていて、一歩も後ずさることができない。
それでももがいて、後頭部を茶室に打ちつけながらも、少しでも頭をずらそうとする。
だが、銀時の強い力がそれをゆるさない。
精一杯あらがってみてもびくともしなくて、しっかりと抑えこまれたまま、唇を貪られる。
嫌だ、と思った。
どうしてこんなことをされるのかわからない。
自分たちは友人であるはずなのに。
強引に押しつけられる感触や体温に、心臓は強く速く打って、その音が耳に響き渡っている。
全身の血がのぼったかのように頭が熱い。熱くて、頭がぼうっとして、身体の力がぬけてしまいそうになる。
口内に舌が入ってきた。
それが歯をなでる。
さらに奥へと侵入しようとしている。
絶対に嫌だ……!
そう強く思い、歯を食いしばる。
すると、舌は口内から去っていった。
押しつけられていた唇が少し離れ、抑えつけてくる力もゆるんだのを感じる。
すかさず、銀時の身体を押しのける。
反動で背中を茶室の壁に打ちつけたが、それにはかまわず、唾液で濡れた唇を手の甲でぬぐう。
頭はまだ熱い。
自分の顔は紅く染まっているだろう。
顔をあげ、銀時をにらみつける。
そして、怒鳴ろうとした。
だが、その声を呑みこんだ。
銀時はこちらをじっと見ていた。
その眼差しは真剣そのものだ。
銀時のしたことに対して腹をたてているのに、なぜか怒りの言葉を呑みこんでしまった。
作品名:ゆらのと 作家名:hujio