二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

ゆらのと

INDEX|26ページ/373ページ|

次のページ前のページ
 

雪が降っている。
足元には積もっている。
ひどく寒い。
銀時は歩いていた。
きものは返り血で汚れていた。
さっき攘夷志士の残党狩りをする天人たちに囲まれ、うまく言い逃れることができず、しかたなく斬った。
だが、これではそのうちまただれかに見咎められるだろう。
着替えればいい。
しかし、新しいきものを買う金がなかった。
あてもなくしばらく旅をしているうちに、金を使い果たしていた。
宿に泊まることもできず、物を買うこともできない。
腹が減った。
そう思いながら、銀時は人目を避けて墓地に足を踏み入れる。
今までずっと歩きつづけていて、複数の天人と戦い、空腹で、しかもこの寒さだ。
疲れた、と思う。
足が止まった。
地面にドサッと腰を下ろす。
ちょうどうしろにあった墓石に背中を預ける。
疲れた、とまた思う。
身体がひどくだるい。
瞼を閉じる。
眼の中に暗闇が広がった。


眠れば、もう目覚めないかもしれない。
それでもいいような気がした。


暗闇の中、戦場という苛酷な場所でともに過ごした仲間たちの姿が浮かぶ。
同じ釜の飯を食い、ときには冗談を言い合ったり、喧嘩したりもした。
その笑顔や、真面目な顔を思い出す。
耳に声がよみがえってくる。
怒号や悲鳴。
聞きたくない、思い出したくない声だ。
苦しみながら死んでいく姿や、もう動かない亡骸となってしまった姿を思い出した。
護ることができなかった。
白夜叉、武神などと呼ばれながら。
すまねェ。
本当にすまねェ。
心の底から、謝る。





もし、おまえがいつか捨てられたら、そのときは、俺が拾う。
そして、おまえを捨てない。絶対だ。

ふいに、幼い頃に言われたことを思い出した。

なァ、桂。
今の俺を見たら、おまえは拾ってくれるのか。

そう思った。
バカバカしい。
すぐに打ち消した。



去るまえに、あの唇に触れた。
無理矢理に奪った。
精一杯伝えたつもりだった。
あいしている、と。
もしも伝わったならば、さらうつもりだった。
伝わらなかったようだが。



最後にもう一回会いたかったな。

そう思った。
バカバカしい。
すぐに打ち消した。

















作品名:ゆらのと 作家名:hujio