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ゆらのと

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すると、桂の唇が動いた。
少し開かれる。
けれども、言葉を発することなく、その口は閉じられた。
困っているような表情を浮かべ、黙りこんでいる。
言えないらしい。
嫌いだとは。
どうしても。
卑怯だ。
そう銀時は思った。
こちらはもう引き返せない。
友達にはもどれない。
どうしても受け入れられないのなら、突き放してほしい。
それができないのは、この期に及んでまだ友達であり続けることを望んでいるからだろう。
そんなことは無理なのに。
卑怯だ。
そう思う。
自分に対して思った。
勝手な願いを桂に押しつけて。
苦しめて。
「クソッ」
反吐が出そうだ。
腹がたつ。
自分が嫌で嫌でたまらない。
銀時は壁から離れた。
そして、一歩さがる。
頭の中はぐちゃぐちゃだ。
足が勝手に動いて、玄関のほうへと向かう。
桂の立ちあがる気配を感じ取ったが振り返らない。
ブーツをはき、土間を進んだ。
戸を開ける。
桂はなにも言わない。
こちらのほうに近づいてくることもない。
銀時は外へ出た。
戸を閉めて、門のほうへ向かう。
やがて門を通りすぎ、来た道を帰る。
夜気はひどく冷たい。
けれど、桂に打たれた頬は熱かった。













作品名:ゆらのと 作家名:hujio