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ゆらのと

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第二部 二、


人の行き交う橋のたもとの欄干の近くに、桂は立っていた。
笠をかぶり、墨染めの衣の上には袈裟をかけ、手には錫杖を持っている。
托鉢僧に変装していた。
すぐそばには職人風の男がいて、小声で話している。
「今のところ、まだ尻尾をつかめていません」
男は桂が党首をつとめる攘夷党の仲間、つまり攘夷志士だ。
幕府で高い地位を得ている天人が悪徳商人から賄賂を受け取るかわりにその商売に関しての便宜をはかっているらしいとの情報を得て、事実かどうかを調べているところである。
事実であれば白日のもとにさらす。
そうすることで、幕府に巣くう天人による支配に慣れた世が少しでも変わるかもしれない。
「そうか」
「いっそ屋敷を襲撃して、証拠を探してみてはどうです」
そう提案され、桂は少し考える。
そして。
「いや」
頭を軽く横に振った。
「それは時期尚早だろう。もうしばらく探りを入れてくれ」
「わかりました」
同志はうなずいた。
それから、すっと桂から離れ、去っていく。
桂もその場を去ることにする。
歩き出すと、右手に持っている錫杖がシャランと鳴った。
川沿いの道を歩く。
太陽は西へと沈みつつあり、その光は黄色みを帯びている。
しかし、今日はこの季節にしては暖かく、外にいてもたいして苦にならない。
何気なく川のほうに視線をやると、河原へと続く道が土手にあるのが眼に入ってきた。
桂の足が自然にそちらのほうに進む。
土手をくだり、河原へと降りた。
草履の下で小石の擦れ合う音がする。
川の近くまで行くと、立ち止まった。
水面を眺める。
心を空っぽにしてしまいたい。
けれど、頭にいろいろなことが浮かんでくる。
問題が山積みだ。
攘夷活動のこと、エリザベスが家出してしまったこと、そして……、銀時のこと。
昨夜のことを思い出し、桂は川のほうに向けていた眼を伏せた。
銀時の言ったこと、銀時にされたことが、生々しくよみがえってくる。
嘘だろう。
そう思う。
だが、嘘ではないのは銀時の様子からわかった。
わかっていて、嘘だと思いたかった。
今でも、嘘だ、冗談だと思いたい。
自分と銀時が、なんて、ありえない。
そういう対象として見たことがなかった。
そういう対象として見られているとは思いもしなかった。
作品名:ゆらのと 作家名:hujio