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ゆらのと

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だいたい、銀時には、自分が把握しているだけでも、過去に関係のあった女性が数人いた。
銀時本人はモテなさそうなことを言い、だからモテないとからかったりしたこともあるのだが、実際のところ銀時はモテるほうだと桂は思う。
怠惰な表情ばかり浮かべているからあまり意識されないが、その顔は男前の部類に入る。
体格もいい。
さらに、強い。
自分は剣の腕前では互角だろうと思うが、単純な力の勝負では勝てない。
そして、その強さを銀時は他人を護るために使う。
決して押しつけがましくなく、あたりまえのように。
本人は認めたがらないが、その性質は優しい。
幼いころは他の者とは違う銀色の髪のせいで、特に女子からは遠ざけられていたようだが、時がたち、その容貌が男らしくなり、そしてその性格がわかるようになると、様々な女性から想いを寄せられるようになった。
ただし、自分の知っている限りでは、銀時が関係を持つのは玄人ばかりだった。
いつのまにかつきあい始め、いつのまにか別れていることが多かった。
深みにはまってしまって醜態をさらすこともある自分とは違っていた。
銀時のつきあい方は、良くいえば後腐れがなくて綺麗、悪くいえば淡泊なものだったように感じる。
だから、わからない。
ずっと好きだった。
そう銀時は言った。
その、ずっと、がいつからなのかわからない。
いつからなのか、そんなことはどうでもいいようで、しかし、気になった。
銀時とすごしてきた日々を振り返ってみれば、今から考えれば、たしかにそれらしきことがいくつかあった。
もしも銀時の言ったことが本当なら、そのずっとがいつから始まったか、いつからかによってはかなりの年数になる。
しかし、たとえそうだとしても。
認めたくはないが自分は女顔で、いくら鍛えても身体は細いままだ。
そのせいか、同性である男に言い寄られたことが何度もある。
少年のころに数人がかりで襲われて、そこにたまたま他の者がやってきて危機一髪で難を逃れたこともあった。
他人にそうした嗜好があるのは別にかまわないが、それが自分に向けられるのは虫酸が走るほど嫌だ。
だから、銀時に想いを告げられ、裏切られたような気がした。
大切な友人だと思っていたのに、欲望の対象として見られていた、なんて。
しかし。
受け入れられないのなら嫌いだと言えと言われて、言えなかった。
受け入れられないから嫌いだと言おうとして、だが、言えなかった。
どうしても。
ふと。
人の近づいてくる気配を感じた。
そちらのほうに顔を向ける。
少し息をのんだ。
「……よォ」
銀時がそこにいた。
作品名:ゆらのと 作家名:hujio