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狙われるモノ1

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久々のセントラル、俺らは大佐避けのナギと一緒に、ホテルに着いた。
「エドワード・エルリック様ですね。メッセージをお預かりしています。」
「メッセージ?」
誰だ。今日セントラルに着くことを知っているヤツなんかない。なんせ、ナギが思いついて寄ったのだから。
「北の一件が片付いた。一応、大佐に礼と報告がてらセントラルに寄る」
って言いだしたのが昨日。それで誰にも連絡せずにホテルに着いたってのに。
訝しげに思いつつ、フロントから受け取ったメッセージには
「エドワード・エルリックへ
ブライト公園で2時に待つ。  ロイ・マスタング」
って書かれてある。今日の2時って、あと30分もねぇじゃねぇか。
しかも公園?なんだ、こりゃ。まるで
「デートの誘いみたいだね。」
「アル、気持ち悪いこと言うなっ。どっちかっていうと、果たし状じゃねぇか。」
「だって、大佐と会うのに公園って変じゃない?いつも軍司令部だよね、電話で呼び出されてさ。」
「あ~、この間、もう絶対に呼び出しに応じないって俺が言ったからじゃねぇか。それで電話じゃなくって、わざわざメッセージにして、一方的に呼びつける。大佐の考えそうなこった。誰が行くもんか。」
思い出した。この間、うっかり呼び出しに応じて、エライ目に合ったんだ。
「でも、このままだと大佐、ずっとその公園で待ってることになるよね。僕が行って断ってくる。」
「待てっ!!アルは行くな。」
「どうして?」
「魂を入れ替えられたらどうする!?」
「あー、そうか。」
「で、どうするんだ?」
ナギが聞いてきた。
「どうするって・・・行かねぇけど。ちょっと休もうぜ。着いたばっかなんだし。」
「エドワード、我々がここに来た目的は?」
「・・・北の件を大佐に報告するため。」
「ということだ。先に行って報告してこい。」
「ナギはどうするんだよ?」
「そうだな、ちょっと休んで、アルとセントラルの記憶の錬成陣の確認をしてから行く。」
「じゃ、俺も。」
「待ちぼうけをくらわした相手の報告を、あの大佐が素直に聞くとは思えんが。後で難儀するぞ。」
「う・・・わかったよ、じゃ先に大佐に報告しておく。軍司令部に行くようにするから、なるべく早く来いよ。」
「わかった。」
くっそー、せっかく大佐避けにナギと一緒に行動しようとしたのに、先手を打たれたか。
――大佐が何を言っても相手にしない。面倒事も厄介事も緊急事態も押し付けられないよう、弱みを見せずに逃げること。ブツブツと念じながら、俺は待ち合わせの場所に一人で向かった。


待ち合わせに指定された公園は、住宅街から少し外れた場所にあった。
人気があまりなく、木々が鬱蒼と生い茂る緑が多い公園だ。
「こんなとこに呼び出しやがって・・・なんだって言うんだ。」
軍司令部じゃないってことは、何か中尉とかに知られたくないヤバい件の手伝いとかを頼む気じゃねぇだろうな。何企んでいるか知らないが、絶対に断ってやるっ!!

約束の2時

突然、俺の周りに赤い光が走る。
「なにっ!?」
これは・・・錬成反応っ!?
俺を囲うように土が盛り上がる。取り囲まれるっ!!
寸前で、一番低い壁を左足で蹴り上げて、脱出する。
「な、なんだぁ!?」
こんな問答無用で襲ってくるってのは・・・大佐じゃないよな、いくらなんでも。
大佐ならまず炎がくるだろうし。
「誰だっ!!俺に何の用だっ!?」
怒鳴るが答えはない。・・・どこだ、この錬成をした錬金術師はどこに隠れている。
錬金術は使えなくても、気を読む練習ならナギから叩き込まれている。
何度やっても龍気ってのは分からないが、人の気配――その中でも特殊な錬金術師の気ぐらいならわかる。意識を集中して・・・自然ではない気の流れを探る・・・

「そこかぁっ!!」

崩れた壁のガレキを、公園に生えた一番高い木に投げつける。

ゴンっ

よし、手応えあり。錬金術が使えないからって、舐めるなよ。
ダッシュでその木に近づこうとした。

バリバリバリっ

「うわっ!?」
目の前に、鼻の先に雷が落ちた。・・・ビリビリする。
こ、こんなこと・・・自然の雷であるわけがない。雷を錬成するのか、ヤベェな。
当たったら相当痛いぞ、コレ。
って思っている間に、続けざまに2発目、3発目がすぐ傍に落ちる。
「うわっっと」
間一髪で避ける。チクショー、だから木の上にいやがるのか。狙い打ちじゃねぇか。
なんとか、下に落とすことができねぇか。せめて姿が見えなくちゃ、反撃も出来ない。
左に、右に避けながら、木の上を凝視する。・・・枝葉に紛れてベージュ色のコートが見えるが、姿までとらえることが出来ない。
「って・・・しまったっ!!」
何度目かの雷が、機械鎧に・・・左足に命中した。途端に左足が固まる。ショートしたんだ。

バリバリバリっ

「うああぁぁっっ!!」
もろに雷を食らう。・・・予想どおり相当痛いっていうか、衝撃で・・・1発で俺の意識は飛んだ。

―――――
「よし、ここも異常はないな。龍気もある。」
「異常はないのはわかるんですけど、龍気・・・あるんですか。」
「まだ、龍気を感じることは出来ないのか。」
「えぇ、全く。・・・人の気はわかるんですけど。」
「こればっかりは口で説明できんからな。この場所がいつもと違うような感じはしないか?」
「・・・空気がキレイってことはわかります。それだけです。」
「まぁ、龍気が読めなくても、記憶の錬金術は成功している。確かココはアルが錬成したんだよな。」
「はい。」
「ここまで出来れば完璧だ。記憶の錬金術、習得できたな。」
「半年がかりでしたけどね。」
「そんなもんだろう。遡るのにちょっとコツがいるからな。」
「本当ですよね。何度失敗したっけ。」
「16回だ。最初はわざわざ壊した地下道を錬成して大佐がエラい怒っていた。」
「・・・よく、覚えてますね。」
「まぁな。大佐の発案でセントラルにも記憶の錬成陣をしたが、いい考えだった。龍気が漲って、魂の入れ替わりにも使えるし、人混みでも気が追えるし・・・」
「そうですね。こないだ早速使いましたケド、でも元はと言えばあれは大佐が原因・・・」
「・・・・!!アルっ!!」
「はい?」
急にナギさんが真面目な顔になった。どうしたんだろう?記憶の錬金術、どこか失敗しているのかな。
「・・・すぐに軍司令部に行く。エドワードと大佐に会うぞ。」
「?はい。」
そのまま、ナギさんは一言も口を開かない。そんなにしゃべる人じゃないけど・・・急にどうしたんだろう。僕たちはできるだけ急いで軍司令部に向かった。


―――
「うっ・・・ってぇ・・・」
ここはどこだ。・・・・あぁ、確か雷に撃たれて、意識を失っちまったんだっけか。
俺は、お約束に両手両足を縛られて、どこかの家の石の床に転がされていた。
はぁ、やっぱ大佐の呼び出しなんか応じるもんじゃねぇな。ろくなことがない。
「気がついたかね、鋼の錬金術師」
「・・・誰だ、おっさん。」
「はじめまして。私は、雷の錬金術師シュウ・コリンズという。」
「知らねぇな。そんなおっさんが何か俺に用かよ。」
「あぁ、招待がいささか強引だったのは謝ろう。どうしてもこちらに来て欲しかったんでね。」
作品名:狙われるモノ1 作家名:海人