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Aに救いの手を_サイレント・キーパー(仮面ライダーW)

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工事男は忙しなく働く




翔太郎が永田の仕事場へ行ってみるが既にやめていた。
「永田ぁ? ああ、あのノロマデブのことか。あいつならこの間ここを辞めたよ」
同僚の男、下田直貴は忙しそうに工事現場の重たい土嚢袋を運ぶ。
柏木の毒料理からそれなりに回復した翔太郎はより詳しい事情を聴くために下田に引っ付くように歩く。
下田はそれに軽く舌打ちをして話を続ける。
「4、5日くらい前だったかな。なんか監督んトコへいきなり来てさ、『やりたいことがあるから辞めさせてくれ』って言ったらしいんだよ」
下田は土嚢袋を下ろすと、次の袋を運びに来た道を戻る。
「やりたいこと?」
翔太郎はその横を一緒になって歩く。
「ああ。んで、うちの監督は真面目だからさ、適当に流しておけばいいのに、『やりたいことって何だ?』って永田に聞いたらしいんだよ」
よいしょ、と下田は泥や土がいっぱい詰まった袋を所定の場所へ下ろす。
翔太郎も下田に付き添う。
「そしたら、永田のヤツ、『この世界を変えるでっかい仕事なんだ』とかなんとか言ったらしいぜ。・・・・・・け、こんな土木作業もままならねぇヤツに何が出来るっていうんだか」
下田は新しい土嚢袋を担ぎ直すとまたせっせと歩く。
それに翔太郎はやっぱり引っ付いて歩く。
(やはり、永田は今回の一件に何か絡んでいる・・・・・・?)
下田と一緒になって歩きながら、考えを巡らせる翔太郎。
「・・・・・・あのなぁ、探偵さんよ。俺の今の状況、みて分かるよな?」
「へ?」
頭が事件のことでいっぱいだった翔太郎は不意の下田の問いかけに間抜けな声を出す。
それが下田の心の琴線を切ってしまったのか、大声で喚き散らす。
「忙しいんだよ! ここの会社いろいろあってさぁ、見てのとおり人手不足なんだわ! 分かったらどっか行ってくんねぇかな!? 俺超忙しいから!」
みると、現場には下田一人だけだった。
下田はたった一人で工事現場の重い機材を運んだり土木工事をしていたのだ。
「っと、わ、悪ぃ。つい聞き込みに夢中になっちまった・・・・・・」
「ったくよー。先々月は同僚のヤツが通り魔の容疑で警察に捕まるし、今月は今月で怪我人続出するし、挙句一番使えない永田も辞めちまうし。この現場呪われているんじゃねーか?」
ブツくさ文句をたれる下田。
(・・・・・・そういや、2ヶ月くれー前にここの会社からこの前通り魔が出たよなー)
翔太郎は数ヶ月前の新聞を思い出す。
(しかしそれに関しては普通の事件だったし犯人はもう捕まっているし、さすがに永田の一件とは関係なさそうだぜ。・・・・・・ん?)
そこで翔太郎の脳裏にある事が引っ掛かる。
「下田さん、ここの現場、今月に入って怪我人がたくさん出たのか?」
「ああ? ああ、そうだよ。みんな怪我しちまってな。今風都の総合病院に入院しているよ」
「この工事現場で? 仕事のときに怪我しちまったとかか?」
「いや、そうじゃねーよ。みんな仕事終わって家帰るときに事故に巻き込まれたらしいんだわ。事故自体は大したもんじゃねーし、怪我の程度も軽傷なんだがよ、なんでも、いきなり上からモノが落ちてきただの、足滑らせて堀や穴に落ちただの」
下田の話を神妙な顔で聞く翔太郎。
「同時期に、同じ会社の人間が怪我で入院・・・・・・。永田だけは無事だった・・・・・・」
サイレント・キーパーの事件とは全く関係のない他愛のない事故の話。
しかし、何故かこの話が翔太郎の耳に深く残る。
「・・・・・・なぁ探偵さん、もういいだろ? 俺、本当に忙しいんだって」
下田は心底鬱陶しそうに翔太郎を睨む。
「あ、ああ。悪かったな、下田さん。参考になったぜ」
軽くお礼を言って翔太郎は工事現場をあとにする。
そして次の捜査場所を確認にしつつ、現場の敷地内から立ち去―――、
ドォォォンッ!!
「ぐああ!」
突然。
工事現場の真ん中。
さっき下田直貴がいたあたりから凄まじい爆発音と土煙、そして男の悲鳴があがる。
驚いて振り向く翔太郎。
「な、に、―――!?」
そこには、運んでいた土嚢袋の下敷きになっている下田の姿があった。