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Aに救いの手を_サイレント・キーパー(仮面ライダーW)

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圧力まじりの劣等感




声をかけたのは男だった。
スウェットにスニーカー、野暮ったいスカジャンという、極めてラフな格好。
丸みを帯びた大柄の巨体だったが脂肪の下には太い筋肉があることが窺えた。
肥満というよりは、ガテン系の人間によくいるがっちりした体型というほうが正しい。
「な、なんだお前らは? む、無断で人の部屋に入るなんで・・・・・・」
少しドモリ気味のその口調は男にトロ臭いイメージを付加させる。
「『おでの部屋』? お前、まさか永田省吾か?」
翔太郎は男に問いかける。
「じ、質問に質問で返すな! れ、礼儀知らずめっ! み、見でだんだぞ! お、お前ら、勝手におでの部屋のながに入っで何じでだんだ!」
男、―――永田省吾は、少し焦った様子で翔太郎たちを糾弾する。
「・・・・・・俺は警察の者だ」
照井は警察手帳を見せる。
「げ、警察・・・・・・!」
それにより一層狼狽の色を濃くする永田。
「・・・・・・永田省吾。お前にいくつか聞きたいことがある。署まで同行してもらうぞ」
そんな永田の様子などお構いなしに照井は永田に詰め寄る。
「ぐ、ぐぐぐ・・・・・・!」
威圧的な照井の態度に永田は後じさりながら唸る。
「・・・・・・お、お前ら、ざ、ざでは『あの人』の敵だな? おで達の計画を邪魔じに来だヤツラだな!」
「あの人? 計画?」
翔太郎は怪訝な顔をする。
「ぞうはざぜない! おでは選ばれし者なんだっ! もう誰にも、おでのごどはバカにはざぜない! お前らなんがに邪魔ざぜでなるものか!」
永田は叫ぶとスカジャンのポケットに手を突っ込む。
そしてその中から『何か』を取り出した。
「お前、それは!」
「!!」
驚愕する翔太郎と照井。
永田の取り出した『あるモノ』。
それは、翔太郎と照井が予想していたものであり、出来れば関わりたくなかった"危険物"だった。
パソコンのUSBメモリのような形状。
そのフォルムは機械であるはずなのにどこか有機的な印象があり、みるものに"生物の骨"を想起させた。
不思議な機械。
奇妙な迫力のある物体。
その『モノ』の極めつけに目を引くのは中心の模様。
それはアルファベットの"P"とも読めた―――。
「お、お、おでは強いんだ! づ、強ぐなっだんだ! 誰にも、誰にもおでをバガにはざぜないぃぃぃーーー!!」
(Press!!!)
永田が叫びながらその機械の真ん中にあるボタンを押すと、無機質な電子音声が聞こえた。
プレス。
電子音は確かにそう囁いた。
さらに永田はスカジャンの袖をまくる。
すると腕に奇怪な『痣』があった。
まるでパソコンと周辺機器を繋ぐコネクタのような機械的な模様の痣。
丁度、永田の持つUSBメモリの接続口にぴったり合ってしまう、機械的で奇怪的な模様。
永田はメモリの接続口を痣に当てる。
(Press!!!)
再度電子音。それとともに信じられない現象が発生する。
メモリが永田の痣を通して体内に吸い込まれてしまったのだ。
まるで実態がないように体内にすーっと潜って行くメモリ。
それが全て入りきる頃、もう一つの不可解な現象が発生する。
「お、おおお・・・・・・」
永田の体が変貌した。
髪が伸びた、筋肉が増強した、というようなおよそ人間らしい変化ではない。
「お、おおおあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
永田は人間以外の"何か"に変わっていった。
鋼鉄の手足。
人間の胴体では有り得ない円筒状のボディ。
顔には目や鼻や口の代わりに電球やアンテナ、スピーカーなどの機械部品が顔中に組み込まれていた。
「ご、ごの力! ごの力で、お、おではごの世界を変えるんだ!」
永田は持っていたハンマーのような杖を二人に向ける。
「誰にも、おで達を止められるもんかーーー!!」
ブウン。
永田が杖を向けた先、―――すなわち翔太郎の頭上。
そこに蜃気楼のような空間の"歪み"が発生する。
ブ、ブブブ・・・・・・。
歪みは次第にある形を形成していく。
ブブブブブ・・・・・・。
それは球だった。
空間の歪みはそのエネルギーをバスケットボールくらいの球形へと姿を変化させていく。
「この、歪み・・・・・・」
その現象を観察していた翔太郎。
「何か、―――やばいっ!」
球形が完成する前に危険を感じて横へ跳ぶ。
ドォォォンッ!!
翔太郎が跳ぶと同時に、彼が立っていた場所に爆音が発生する。
「くっ!」
翔太郎は凄まじい轟音と爆風に思わず目を瞑る。
ゴォォォォ・・・・・・。
土埃が晴れ次第に視界が明確になっていく。

翔太郎が立っていた場所。
そこには、バスケットボールサイズほどの小さなクレーターが出来ていた。