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Aに救いの手を_サイレント・キーパー(仮面ライダーW)

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光の怪人は沈黙する




「・・・・・・ん、むぅん・・・・・・?」
ダブルの攻撃で気絶させられていた永田は目を覚ました。
「・・・・・・うう、う・・・・・・?」
まだくらくらする頭を擦りながら、永田は周りの状況を確認しようとする。
永田の目の前には自分を吹っ飛ばしたダブルとその横で倒れている赤い革ジャンの刑事、そして―――、
「お? おおっ!」
体中から光を発しているダブルによく似た怪人の姿があった。
「で、でははは! や、やっだ! 助げが、助げが来だんだ!」
その光の怪人を目にした途端に永田は妙にテンションを上げる。
そしてダブルのほうを向き勝ち誇ったように喚き散らす。
「や、やい、仮面ライダーども! お、お前らはごごで終わりだ! お、お前らは絶対に勝でない! 勝でるわげがないっ!」
でははは、と高笑いをする。
そして気分が安定して調子が出てきたのか、永田はさらに叫ぶ。
「な、なんたって、ぞ、ぞの怪人はな! お、お前ら仮面ライダーの、」
バチバチィッ!
「がべっ!?」
ドサリ。
突然、永田の声が止まる。
また気を失い倒れたのだ。
「・・・・・・」
みると、倒れた永田の後ろには、ダブルと対峙していたはずの光の怪人が立っていた。
光の怪人が永田の後ろに立つには、ダブルの横を通過して永田のところまで行かなければならない。
しかし、

「バ、バカな・・・・・・!」
「い、いつの間に・・・・・・?」

ダブルがそれに気づくことはなかった。
「・・・・・・」
光の怪人はダブルのほうを向く。そして実験動物でも見るかのようにじっと観察をする。
「・・・・・・気をつけるんだ、翔太郎。このドーパント」
「あぁ、さっきの永田とは強さの格が違う。・・・・・こいつはマジでヤバいかもな・・・・・・っ!」
今までに様々なドーパントと激闘を繰り広げてきたダブル。
その戦闘のなかで培われてきた彼らの直感が頭のなかでこう告げている。
"こいつは危険だ"
「・・・・・・」
未だに一言もしゃべらない光の怪人。
「・・・・・・」
ゆっくりとした足取りで一歩、二歩とダブルのほうに歩み寄り。
ドカッ!!
いきなりダブルの懐の内側からボディ・アッパーを入れた。
「ぐ、うぅぅ!?」
腹部に神経に障る鋭い痛みが走る。
警戒は怠らなかった。
怪人との間合いは十二分に計算に入れていた。
しかし。
いつの間にか攻撃の射程圏内に入られ、一撃もらってしまった。
「がはぁ!」
毒虫に刺されたときのような痺れる痛み。
突然の鋭利な痛覚に翔太郎は咽る。
「くっ!」
ダブルは追撃を逃れるために大きく後ずさり光の怪人と間合いをとる。
「翔太郎! 大丈夫かい!?」
相棒のフィリップの心配そうな声。
翔太郎はそれに頭を振り応える。
「・・・・・・だ、大丈夫だ。・・・・・・くそ、でも今の一撃で大分みえてきたぜ・・・・・っ!」
いつの間にか、壁に磔にされた仮面ライダーアクセル。
気がつかないうちに、気絶させられた永田省吾。
そしていきなり、間合いの内側からの攻撃をもらってしまった仮面ライダーW。
『いつの間にか』、『気がつかないうちに』、『いきなり』・・・・・・。
光の怪人の攻撃を説明しようとすると、全てに"突然"という意味合いの単語が入る。
これらの単語が示す一つの事実。それは―――、
「間違いない。こいつは、―――高速移動タイプのドーパントだ」
翔太郎たちが追っている、連続誘拐事件。
トリック不明の不可解な誘拐事件。
その事件状況は、柏木の友人、柿崎智子も含めその多くが"突然姿が消える"というものだった。
もし、この光の怪人がその誘拐の実行犯だったとしたら。
単に"速い"という言葉だけでは片付けられないほどの神速。
目にも写りさえしないこのスピードで、ターゲットを拉致していたとしたら。
「この光の怪人の能力が一連の誘拐事件のトリック・・・・・・っ!」
自分の推測を確かなものにするようにフィリップは呟く。
ピカッ! バリバリバリバリィィーーーーッ!!
「「!!」」
二人がまだ状況を整理しているときに強烈な落雷音が響く。
発生源は目の前の怪人。
体中が眩い金色に輝く光の怪人。
まるで雷を人間という形に作り直したような存在。
「・・・・・・」
未だに沈黙を守るその存在は。
フッ。
・・・・・・・。
「!?」
ドドドドドドドドドッ!!
「ぐあああ!?」
今度は街の守護者をも、コンクリートの壁に貼り付けた。
「あ、あああ」
全身を蜂や虻にでも刺されたような激痛感。
「あ、あああ・・・・・・」
ダブルは糸の切れた人形のように膝から落ちる。
「翔太郎!」
フィリップの絶叫は届かず、ダブルの変身は強制解除され、人間、左翔太郎は照井竜同様、地面に倒れこむ。
「・・・・・・」
光の怪人(警戒すべき敵)が、まだ目の前にいるにも関わらず。