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Aに救いの手を_サイレント・キーパー(仮面ライダーW)

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仕込みは上々




風都の市内にあるとある建物。
時刻は、仮面ライダーたちが光の怪人に倒されたすぐ後くらい。
ドカッ!
「ぐばぁ!」
まともな電飾もない薄暗い部屋。
夜の暗闇の支配するその部屋で、男の絶叫が鳴り響く。
声の主は永田省吾。
何もない空間に圧力を発生させるガイアメモリ、プレスメモリの使い手。
彼は殴られていた。
そこにいたもう一人の人間に"制裁"をくわえられていたのだ。
「困りますねぇ、永田」
冷たい、淡々とした声。
永田を人ではなくモノとして捉えていることがよく分かるほどの事務的な響き。
ドカッ!
「うがっ!」
その人影は殴られて倒れている永田の腹に容赦なく蹴りを入れる。
「よりにもよって、警察よりも警戒しなくてはならない仮面ライダーたちに目をつけられるとは。永田、つまらない失敗をしましたね?」
その人影は神経質なほど事務的に淡々と永田に言葉を放る。
「う、ぐぐぐ・・・・・・」
永田は獣のように唸りその痛みに耐える。
普通の感覚の人間なら、ここまで殴られ蹴られて何もしないということは有り得ない。
まして永田省吾という男は一般的な人間よりも感情の沸点が低い類の性格だった。
攻撃にうつるまでには至らなくても恨み言や言い訳の二つ三つは発していて然るべきだろう。
しかし。
「ぐ、ううう・・・・・・」
永田はただその制裁に耐えていた。
永田は知っていた。
この人間に言い訳や恨み言の類は一切通用しない、という事を。
ドカッ!
「がっ!」
「・・・・・・」
バキッ!
「ぐえっ!」
「・・・・・・」
それから、無言の制裁は10分ほど続いた。
「ぐ、ううう・・・・・・」
「・・・・・・まぁ、こんなものですかね」
体中痣だらけになり力なく倒れている永田を謎の人影は見下ろす。
「いいですか、永田?」
そして人影は、腰を落とし囁くように永田に話しかける。
「拉致現場に意味のない落書きを施すように勝手な指示を出したり、飲み屋で自分が我々の組織の一員であるようなことをしゃべったり。挙句警察や探偵の網にかかり正体がバレそうになった上、勝手に独断専行し危うく倒されそうになった。・・・・・・今回貴方が取った軽率な行動は、一歩間違えば我々の計画を全て台無しにしてしまいかねない行為です。そのことは理解していますね?」
「ば、ばい・・・・・・」
永田はイタズラをして大人に叱られた子供のようにすっかり震え上がっていた。
「今回は『この程度』の制裁で終わりにしてあげますが、もし、次ミスをしたら―――、」
しゅぱっ!
その人影がいつの間にか持っていたナイフで永田の前髪は横一線に切り揃えられた。
「―――っ!? ひ、ひぃっ! ず、ずみばぜん、ずみばぜん!!」
永田はあまりの恐怖に大きな体を丸めて懇願する。
謎の人影は、やれやれ、と溜め息をつくとそれ以上は永田を追及せずに立ち上がる。
「貴方がサイレント・キーパーの一員だとバレてしまった以上、おそらく『追跡者』はここまで辿り着くでしょう」
やはりトドメをさせなかったのは痛かったですね、と謎の人影はひとり愚痴る。
「しかしながら、こちらも彼らをもてなすための準備は出来ている。計画までもう少しです。なので、―――永田ぁ、失敗は許されませんよ?」
謎の人影は冷たく永田を睨みつける。
「ば、ばい!」
恐怖に背すじを凍らせながら永田は返事をする。
「分かったらとっとと行きなさい」
「ば、ばいぃぃっ!!」
永田は泣きそうになりながら部屋から走り去っていく
「・・・・・・」
永田が部屋から走り去っていく姿を見送ると謎の人影は部屋の奥のほうに視線を移す。
「そう、仕込みは上々、といったところですかね?」
薄く笑う謎の人影。
その視線の先には―――、
「・・・・・・」
手術用の寝台の上で死んだように眠っている子供が一人。