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Aに救いの手を_サイレント・キーパー(仮面ライダーW)

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半人前のヒーローとその相棒




翔太郎たちが探偵事務所に戻ったのは、夜も随分更けてからだった。
先に目を覚ました翔太郎は真っ先に救急車を呼び、傷だらけになった照井に応急処置を施し、近くの病院へと運んで、亜希子とフィリップ、警察の人間に連絡をし事情(自分達が仮面ライダーとなり応戦したことは省いた内容)を説明してようやく探偵事務所に帰ってきた。
亜希子は照井竜に付き添うため事務所へは戻らず病院に残った。
照井に付き添う亜希子の顔は随分気落ちしている風情だった。
「・・・・・・無理もない。自分の恋人のあんなボロボロの姿をみてしまってはね・・・・・・。しかし、悪いのは君じゃないよ、翔太郎。襲ってきたドーパントさ」
フィリップは事務所のソファに座っている翔太郎に話しかける。
翔太郎は肩を落とし頭を垂れる。
「・・・・・・いや、俺のせいさ。俺がいち早くあの異常に気がついていれば、照井だけでも逃がせたかもしれねぇ・・・・・・」
翔太郎の体には至る所に包帯が巻かれていた。
照井ほど重症ではないにしろ、翔太郎も随分とダメージを負ったことが窺えた。
「あの時、照井はあの異常な状況に気がついていたんだ。俺ももっと早く気づけていたら、或いは照井はあそこまで酷い怪我を負うハメにはならなかったハズだ・・・・・・」
翔太郎は頭を抱える。
「翔太郎・・・・・・」
フィリップは翔太郎を励まそうとして―――、
「いつまでそんな事を言っているつもりだい?」
やっぱりやめた。
翔太郎はフィリップを見上げる。
「君の力不足で照井竜が重症の怪我を負った。僕に言わせれば、それは仕方のないことだ。なんたって君はまだまだ半人前の探偵、すなわちハーフボイルドなんだからね」
「な、」
翔太郎は目を見開きフィリップに掴みかかる。
「なんだとコラァ! もういっぺん言ってみろっ!」
怒声を上げる翔太郎。
しかし、その迫力に気圧されることなくフィリップは襟を掴んでいる翔太郎の手をどける。
「君がお望みなら何度でも言ってやるさ。こんなところでヘコたれているうちは何度だって、ね!」
「な、」
「君は今、何をすべきか分かっているはずだ。なのに君は照井竜を救えなかったことをいつまでも引きずり、それと向き合おうともしない!」
「・・・・・・」
「僕達が今すべき事。それは人々を悲しませ、関係のない人間を傷つけ、この街を泣かせているサイレント・キーパーを捕まえることだろうっ!!」
フィリップは吠えた。
常に沈着冷静でどちらかといえば他人には興味を示さない翔太郎の相棒は街のために声を張り上げた。
「君が半人前で、力不足だというのなら、僕はいつだって力を貸してやる」
なんたって、とフィリップは言葉を区切り、
「僕は君の相棒だからね!」
微笑んだ。
「・・・・・・」
翔太郎はしばし呆然とする。
「・・・・・・へっ」
そして照れたように鼻の下をこする。
「お前に諭されるようじゃ俺もまだまだだな」
「おや、自覚がなかったのかい? 自分がまだまだの半人前だということを?」
「うーるせーよ」
翔太郎は、やれやれ、と肩をすくめ、そして翔太郎本来の表情に戻る。
「改めて言うぜ、―――半分力貸せよ、相棒!」
この街を守る、ヒーローの顔に。