The world make kaput <1章:2>
不利的状況
「ギャーオギャーオ!」
「キッキッ!…ンキャー!」
5匹のランポスが円を作り中心にいる小さな生き物を取囲んでいた。
その生き物は片手に小剣を握り、振り回し、ランポス達を牽制していた。
だが、圧倒的に不利的状況なのは一目瞭然だ。
ランポス達もそれを分かっているのか攻撃はせずに威嚇をして遊んでいるかのようだった。
そして戦意を失った処を頂いてやろうという魂胆だろう…。
ラウル:
「チャチャブーか…珍しい奴がいたもんだな。まぁ人じゃなくてよかったか。」
人でない事を確認してやれやれ、といった感じで踵を返そうとした時、
エリス:
「チャチャ…ブー?」
エリスが興味を持ったのかその言葉を繰り返した。
ラウル:
「あぁ、アイルーやメラルーと同じ獣人族だ。ただアイツらと違って攻撃的だがな」
そう説明付けてエリスに帰るぞと言おうとした時、エリスが何かを呟いた。
エリス:
「…ぃぃ…」
ラウル:
「…?」
エリス:
「…かぁぃぃ…」
ラウル:
「は…?」
ラウルは思った。エリスは何を言ったのだろう〝かぁぃぃ〟…は恐らく〝可愛いい〟のエリス的表現なのだろう。
いや、違う。問題はそこじゃない。
エリスが何を可愛いと言ったか、だ。
……あれのどこが可愛いのだろうか?
奇妙な面を被り、あまつさえ上は裸で下は葉っぱ1枚だぞ?どこの民族だ…!
「許さない…」
「おい…エリス」
「かぁぃぃものを苛める奴は私が…許さない…!!」
ラウルが手を伸ばした時、そこにエリスの姿はなかった…
作品名:The world make kaput <1章:2> 作家名:ますたーど