The world make kaput <1章:2>
狂戦士の輪曲
5mは離れていたと思う。
それをエリスは一足飛びで手近なランポスの正面に顔を下げて立った。
突然現れた自分達と同じ顔…だが、首から下が違う。
真っ赤なドレス…そして懐かしい匂い…そう、エリスの赤いドレスはこの森丘をしきっていたドスランポスの血で染めた物。
正面のランポスは敵(かたき)だとばかりに噛み付こうとした…その時エリスが下げていた顔を上げ、 ランポスと眼を合わせた。
至極無表情な顔だったが…刹那、ランポスはビクリと体を硬直させた。
明らかな殺意…その辺り一面を覆う重圧
一触即発の空気の中、エリスがチャチャブーへ顔を向け、ニコリと笑顔を見せた。
チャチャブーはその笑顔の意味をすぐに理解した。
『敵か味方かなんてどうでもいい…でも、今は〝仲間〟だ』
チャチャブーは小さく頷き、戦意を新たにして武器を握り締めた。
それは2匹の狂戦士(バーサーカー)が奏でる輪曲(ワルツ)
ラウルは蚊帳の外
エリスとチャチャブーは同時に正面にいたランポスを切り捨てた。
エリスは一撃で仕留めたが、チャチャブーの武器ではリーチの長さもあり、一撃で仕留めきれず追撃を喰らわせなくてはいけなかった。
そのため自分にふりかかる爪に気付くのに少し遅れた。
作品名:The world make kaput <1章:2> 作家名:ますたーど