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みとなんこ@紺
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ZERO HOUR

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最初から逆らえる訳はない。
 さよなら、オレの平穏。

 そして、こんにちは動乱の日々よ。



 ・・・余計な事言うんじゃなかった、と。後悔するのはそれからすぐの話。








 それは一通の封書から始まった。


 自分は今、まさにここしばらく断トツの危機に直面していた。
 目の前には不審気な、というか不服気な顔をした黒髪の上官が。
 あくまでも軍の中では平均の身長くらいだろうが、何か微妙に偉そうなオーラが出ていてどんどろな威圧感が来る。しかもこんな逃げ場のない所では無駄に効く。
 無駄に。

 余談:主に人に無理難題押し付ける時に発動される。


というか、だから寧ろ今だ、今。


 今オレピンチ!助けろ!と周りに視線を送っても、自分の部下初め同僚他誰も視線を合わせてくれない。
 それどころか上司であるところのこの場の紅一点、ホークアイ中尉にいたっては目を逸らしはしなかったが、助けてもくれなかった。寧ろその意見には一理あるわね、くらいの表情が浮かんでいて。ああ。

 だが頑張れオレ!ココで負けたら平穏な生活がおじゃんだ!

 心の中で拳を握る。よし行くぜ!と勢い込んで無茶な事言い出した上司を振りかえれば、ブチ当たったのは満面の笑みだ。
 やべぇ。
「まさか私が部下の家に転がり込むとは思わんだろう?」
「いや、そりゃそうでしょうけど…!」
 絶好のカムフラージュではあるとは思う。何せこの上官は司令部の外(主に一定の衆人の目があるような場面では特に)では、こんな上下にユルイ所を欠片も見せてはいない。外から見ればいかにもいけ好かない軍のエリート然とした男に見えるように見せかけている。
 よってそーゆー面しか見ていないテロリストの皆さん他・反体制派の方々からすれば、そんなのが部下のせっまい家(ほっとけ)に転がり込んでいるとは思いはしないだろうが。確かに。
「だからって…」
「なんだ。家捜しするような手癖の悪いことはせんぞ」
 ・・・・・・。
「あんたこないだのネに持ってますね!?」
「うるさいな。何が不満だ」
「不満だらけですって!つーか万一あんたと一緒に吹っ飛ばされたらどーすんですか!」

 そっちかよ!

 と、恐らくその場にいた全員が思ったが。
「心中は趣味じゃない」

 そういう問題でもない。

 上司はその斜め上をいっていた。
 どのみち、この上司が言いだした時点でもうそれは決定事項だ。嫌がるだけ無駄ってものである。だが、その煽りを最も派手に受け、身に染みて判っているはずのタバコで動いてる少尉はこれだけは認めたくないらしい。
 まぁ、気持ちは判るけど。
 それでも山盛りの脅迫状と、予告と。いつもの事と言えばいつもの事だが、時期的な関係も相まって些細なものでも片端から詰めていかなければ。
 もうこうなれば時間の問題だというのは周知の事。だが、今回メインで動かされる事になる周りの面々は、往生際悪く孤軍奮闘する愛すべき隊長殿をにーやにーやしながら眺めているだけだ。
 司令室に詰めていた面々の視線すべてを受けるハメになっているが、ご本人さまは回避に必死で周りに気を配る余裕もなし。おかげで部屋の隅の方で「少尉が逃げきれるか否か」なんて倍率の偏った賭けが水面下ではじまった事も露知らず。
「つーか何でわざわざうちなんですか!?」
「近いからだ」
「・・・司令部に?」
「それ以外の何がある」
 何故か無駄に胸を張った上司は、それくらいもわからんのか、みたいな顔で鼻で笑って下さった。曰く、
 そんな何日も何日も司令部に詰められっぱなしというのも嫌だし。
 かといって本当に家に爆弾放り込まれても、ご近所迷惑になることだし。
 …って、爆弾放り込まれたら近所迷惑とかそういう問題ではなくですね。
 やはり微妙にポイントがずれている気がしなくもないが、大佐本人としては重要な事らしい。
「ご近所との付き合いもそれなりに良好だし、司令部との距離も丁度良いし、預かり物の本も沢山置いてある。それに結構気に入ってきたんだ。何か面倒事起こして今更引っ越したくない」
「周りには退役軍人の家も多いし、怪しい奴はすぐ目に付くような所だし、確かに立地としては申し分ありませんしね」
「そうだろう。それに家の裏のミセスの手作りパンはとても美味い」
 パンと命とを同列で扱われてるような気がしないでもないが、こうも日常茶飯事だと感覚も麻痺してくるんだろうか。もう誰も気にしない。
作品名:ZERO HOUR 作家名:みとなんこ@紺