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飛空都市の八月
飛空都市の八月
novelistID. 28776
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あなたと会える、八月に。

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 そして最後の一文が、ジュリアスの胸を深く剔る。
 「いつかはしおれ、やがて枯れ落ちてしまう」
 『彼』の、祭壇の花の中、埋もれるようにして横たわっていたやすらかな死に顔が目に浮かぶ。
 失う、ということは、なんと早くやってくるのだろう。去年−−ジュリアスにとってはたった二週間前、楽しくチェスをした相手がもういない。
 その『彼』の、花の中の顔が、他へと変わる。
 瞬間、心の中でジュリアスは悲鳴を上げる。
 そうだ。
 初めて会ったとき六歳だったあの娘と私は昨日、慰め、癒し合った。
 けれどいつか私は、またあの黒い服を着て、祭壇の花の中を見るのか。
 見送るのか。



 あの娘を−−ロザリアを。





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