あなたと会える、八月に。
そういうわけで、地位、権力、財力ともに屈指の位置にいるカタルヘナ家の彼らにとって、この青年のこのように変わらぬ態度はとても新鮮で魅力的だった。もちろん彼らは華やかなことも好きだったから、ホテル主催のパーティーにも大いに参加したし、社交界における上っ面な会話自体もそれなりに楽しんではいたけれど、そういうところには一切参加せず、彼ら家族の団らんには決して深く立ち入らない彼−−唯一、八月十六日の、ジュリアスが彼らの夕食の主賓となる以外−−は、彼らの良き『八月の友人』であり、会えることを家族一同楽しみにするようになっていた。だから、次の八月−−ロザリアが十五歳の八月もまた楽しめると思っていた。
けれど。
作品名:あなたと会える、八月に。 作家名:飛空都市の八月