敵中横断二九六千光年1 セントエルモの灯
時計の針
〈ヤマト〉の時計はグリニッジの時間に合わせられている。その針がちょうど零時になるところだった。カレンダーが示す日付は九月二十日。人類存続が叶わなくなるとされる日まであと暫定365日――このとき、古代はアングリと口を開けてテレビを見ていた。〈ヤマト〉とやらが何やらバカでっかい砲を撃つのを捉えた映像が映っている。重力が戻ってベッドに落ちて、部屋の灯りにテレビも点いたと思ったら画面に出たのがそれだったのだ。
「な、なんで?」古代は言った。「なんで、昔の軍艦が空飛んで、先っぽから火を吹くわけ……?」
作品名:敵中横断二九六千光年1 セントエルモの灯 作家名:島田信之