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空跳ぶカエル
空跳ぶカエル
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わたしは明日、明日のあなたとデートする

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「向こうで会うことができれば、また始めることができるか、私の出番はもうないか、何か答えが出るでしょう。高寿が生きている時代に行けなくても、その時は今度こそ諦めることができる。つまり終わることができる」
 長い時間、高志は目を閉じたまま黙っていた。私は高志が口を開くのを待っていた。
 どのくらい時間が経っただろうか、高志がようやく口を開いた。
「母さんが言いたいことは少しはわかるよ。でも、向こうに行ったまま『お別れ』になってしまったら、それはこっちの世界にいる俺から見れば母さんが死んでしまったのと同じだ。そんなことには協力できない」
 私はカッとした。
「高志。あなたには私に協力する義務があるの。拒否する権利はない」
「何言ってるんだ。そんなわけないだろう」
 高志が鼻白んだ。
「私は二十歳の時、高寿と歴史をなぞるだけで未来を作れない運命に逆らう意志を持って、あなたをこの身体に宿して産んだの。そしてあなたは成長して物理学者になって、私にもう一度運命に逆らえる可能性を示唆してくれている。だからそれに協力するのはあなたの役割なの」
 突然高志が立ち上がって怒鳴った。
「俺はあんたの道具じゃない!」
 私も立ち上がった。
「そんなの当たり前じゃない!あなたは自分の意志で今まで生きてきたでしょ!私がこれまであなたの進路や生き方に私の都合を通したことがある?ないでしょ!」
 少し時間をおいて、可能な限り落ち着いた声で。
「私があなたに産んであげた恩返しを求めるのは、これが最初で最後」
「私を向こうに行かせて。お願い」
 高志は映画が一本鑑賞できるのではないかと思うくらいの時間、私を睨みつけていたが、ついに諦めたような、でもまだ怒りを含んだ声で答えを出した。
「明日の夜十一時、三鷲駅の改札で落ち合おう」
 そして私に背を向けて腕で目を擦った。私は心の中で高志にごめんね、と謝った。