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金剛になった女性 - 鎮守府Aの物語

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--- 12 比叡




 同じく出撃から帰ってきた比叡は、嬉しさにあふれていた。提督と教育秘書艦らのお願いとはいえ、仲良くなろうと猛烈にアタックしていた金剛が、心を開くのを通り越して、自分をかばってくれたのだ。


 だれに対しても別け隔てなく明るく接して仲良くなれる比叡こと、日名島桜だったが、無闇やたらに明るくポジティブなのではない。明るい雰囲気に反して意外と陰口・悪口は気にして(表面には出さないが)凹みやすいほうだ。頭は良い方ではないので難しいことは考えない質。
 そして世話焼きでもある。いきすぎておせっかいなところもあるが、悪気があるわけではない。なので比叡に接する人はだれも彼女を憎めないと思って気楽に接することができる。


 金剛には比叡自身にない、指揮能力、人を(良い意味で)操る力があった。性格に影があるのでそれが戦闘以外で発揮されないのがもったいない、と比叡は思っていた。
 暗くしている人を元気づけてあげたい。
 比叡自身で説明がつけられないフィーリングが合うとでもいうのだろうか、何か感ずるところがあるのだろう。それが比叡に、金剛へアタックさせ続けさせる原動力になっていた。


 アタックしては拒否され、それの繰り返しの矢先、先日の出撃任務中に起きた事件である。頑なに自分を拒否し続けてきた金剛が自分をかばって相手に反論して(やりすぎではあるが)演習で反撃してくれたのだ。姉妹艦だから、提督らにお願いされたから始まった金剛へのアタックと想いだが、ついに通じ合えたと確信していた。
 これほど嬉しい事はない。


 その日、仲の良い艦娘たちとの雑談はほどほどに、早めに帰ることにした。比叡も当分は待機状態だった。


((むふふ!帰ったら椿と楓にも話してあげようっと。姉ちゃんの同僚にはこんなに熱い人がいるんだって。))


 比叡は3人姉妹の長女。下には今年社会人になった日名島椿、まだ大学生である日名島楓の2人の妹がいる。おしゃべりでもある比叡は、とにかく誰かに話して嬉しさと喜びを分かち合いたく思っていた。
 その後、金剛についての話や鎮守府での話を毎日聞かされ、思いを張り巡らせて期待をふくらませた妹達は数ヶ月後、日名島椿は戦艦榛名として、そのさらに数ヶ月後に日名島楓は戦艦霧島として鎮守府Aに着任することになる。