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金剛になった女性 - 鎮守府Aの物語

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--- 3 見せつけられる現実




 その後しばらくは金剛は鎮守府Aに慣れるため、様々な任務を担当して過ごした。出撃は多くないと言っていたが、金剛が着任してから2ヶ月で5〜6回あった。他の鎮守府と比べて、そう変わらない頻度だ。金剛はそつなくこなしていった。


 館内を歩いていて提督と会った。
「ヴィクトリ・・・じゃなかった。金剛。あなたが来てくれたおかげで出撃任務が舞い込んできています。当鎮守府の艦娘たちの練度も相対的に高まってきているようです。本当、感謝してるよ!」
「それはよかったデスね。」空返事な金剛。


((初日に教えられてから何回か出撃も演習もありましたが、一度も艤装の本当の力を発揮できていまセン。一体どうしたらできるんデスか・・・))
 鎮守府Aの艤装をもっと扱えるようにするためのチャンスは何度かあったが、金剛はいずれの試す機会でも失敗していた。


「あ、金剛さーん!」
軽快な声で比叡が呼びかけてきた。
「Ah, 姉妹艦の比叡デスか。」
「姉妹艦同士、今度帰りにお茶して行きませんか?金剛さんったら、何度呼びかけても断るんですもの。そろそろ観念してもらいますよぉ?」


 比叡は鎮守府Aの中でも扶桑と並んで古参の戦艦艦娘。彼女はそのアホみたいに明るい性格で、他の艦娘と積極的に接して仲良くしている。金剛はそんな比叡を、正直言ってうっとおしく感じていた。が、大人しい両親の血ゆえか、感情をはっきり出してものを言えない部分があった。
 あまりに深く考えすぎると、そうなるのだ。


「Oh...比叡。何度誘ってもらっていますが、私は職業艦娘ですので外に行きマセン。それに私はプライベートを大事にしたいのデス。それにここの鎮守府とはあと残り1ヶ月の所属なので・・・」


「そんなつれないこと言わずに行きましょうよ〜あ、じゃあ司令も合わせて3人で行きましょう!司令が嫌ならええと・・・そうそう。青葉ちゃんって高校で新聞部やってるそうで、それ活かして鎮守府やこの町の面白いネタを記事にするんですよ。でね〜」
 と話し出したら止まらなくなっている比叡。


 さすがに度が過ぎたのか、金剛は思わず怒鳴った。
横「Shut up! (しつこい!!うるさい!!)」


「へっ!?」
 突然英語でまくしたてられてあっけにとられている比叡をよそに、金剛は早足で去っていった。
((あんなアホみたいな人が練度高くて、戦力として優秀だなんて認められマセン!なんであんな人が・・・私のほうが戦いでは優秀なのに・・・))


 比叡は、金剛が認めるように鎮守府Aの中でも扶桑と並んで高練度、いざというときに強さを発揮しやすい艦娘なのだった。金剛は、あんなにおちゃらけていて戦いでは目立った動きをしていない比叡がなぜ強いのかが理解できなかった。
 事実、戦闘においては比叡よりも金剛のほうが指揮能力が高く、回りからも評価されてはいるのだが、実際の攻撃能力は比叡に劣っていた。


((精神力も、心も私のほうがしっかりしているはずデス。強いデス・・・!))