二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」
オダワラアキ
オダワラアキ
novelistID. 53970
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

Love me tender前編

INDEX|2ページ/4ページ|

次のページ前のページ
 

今日は誰にも見られなくて良かったぁ。

つくしは、店へと入る前にキョロキョロと辺りを見回し、知り合いがいないかと確認する。

以前、類がつくしの制服姿が見たいからと、送るついでに店内へと入ってきた時は大変なことになった。

その時間バイトで入っているウェイトレスが、こぞって類のところへ注文を取りに行こうとしたため、他の客を全てつくし1人で対応しなければならなかった。

忙しく動き回っていると、すれ違い様に類が、つくしの手を掴む。

「今、スッゴイ忙しいから!誰かさんのせいで!」
「牧野、俺のところには注文取りに来てくれないの?」
「類のところに来たいウェイトレスは、いっぱいいるから待ってて!」

類の手から逃れると、イライラと店員を待っている客のところへと急いだ。

しかもそんなウェイトレスたちに、類が誤解を招くようなことを言ったばかりに、つくしはバイト終了後質問攻めにあったのだった。

「ね〜!あの超絶イケメン牧野さんの何なの!?まさか、彼氏!?」
「えっ…あ、いや…」
「私たちが注文を取りに行こうとしたら、牧野に来て欲しいなぁ…って言われちゃったんだから!」
「はっ!?」
「しかも、牧野さんとどういうご関係ですかって聞いたら、片想いの相手、だって!!」
「………」

る…類〜!!!
もう!訳わからないことばっかり言うんだからっ!

つくしは同僚たちから逃げるようにバイト先を後にした。
とんだ爆弾を落としていってくれたものだ。


***


車も停められないような、路地裏の一角にあるこじんまりとした喫茶店。
途中までは類の車で送ってもらい、そこからは2人で歩いて向かう。

「あ、ここだよ!」
「ふうん、何だっけ?パフェが美味しいんだっけ?」
「そ、類も協力してね」
「?」

バイトが休みになった今日、大学の帰りに約束どおり類と出掛けることになった。
T3と今度来ようと約束していた店だったが、つくしが先に来たところで怒るような友人たちではない。
それどころか、友人たちはしゃべることが出来れば、場所はどこだっていいのだ。

類が店のドアを開けると、甘い香りが漂ってきた。
その甘ったるい匂いに、一瞬顔をしかめるが、あまりに嬉しそうにしているつくしを見て、思わず笑ってしまう。
そしていつものごとく、つくし限定王子様スマイルを見た女性客が、持っているスプーンやフォークをポロリとテーブルに落とし、類の美貌に酔いしれた。


「びっくりどっきりパフェください…類は?」

席に案内され、つくしが摩訶不思議なパフェを注文すると、店員が大丈夫ですか、と声を掛ける。
店員に笑って頷くと、類に向き直った。

「ん〜フルーツグラタンある?」
「ないよ!」
「じゃあコーヒーでいいや」

しばらくすると、類が思わずコーヒーを落としそうになるほど大きなパフェがテーブルに運ばれてきた。
それは、つくしの顔を隠せるぐらいの高さで、クリームやバナナ、アイスが積み上がっていた。

「何…その大きさ…?」

まさか、協力ってこれのことじゃないよね…。

嫌な予感がして、目をキラキラさせてパフェを見るつくしに聞くと、男と一緒にいるとは思えない口の大きさでパフェを頬張っている。

「ムグ、ゴクッ…びっくりどっきりパフェだよ〜。類も食べてね。1人じゃ食べきれないから」
「嫌だ…」
「え〜」

こんな時に、普段はあまりしないような顔をする。
唇を尖らせて、拗ねたように上目遣いに睨む顔は、類にとっては可愛さ1000%でしかない。

「分かったよ。じゃあ、ちょうだい」
「はいっ!美味しいよ〜」

つくしがスプーンにコーンフレークとバナナ、クリームをたっぷり乗せて、あーんしてと言うように、類の口元へスプーンを運んだ。
類は一瞬驚いたような顔をするが、フッと笑うと口を開けた。

「甘い…」

口に入れるとあまりの甘さに、眉を寄せる。

「あはははっ!だよね〜!もっと食べる?」
「だって、協力してほしいんでしょ?」
「うん。類、頑張って?」

それは想像以上に甘かったけど…。

おまえ、何も考えてないでしょ?
俺が、こんなことぐらいで嬉しくなるって。


***



「先輩!また、いいバイトしません?」
「いいバイトっ?」
「私たちに付き合って、男性とお茶飲んでご飯食べるだけです」

その私たちというのは、一緒にいる桜子、滋、そして優紀の3人で、カフェでお茶をして過ごしているところだった。

「っていうか、それ合コンでしょ?」
「ふふっ、バレました?」

いいバイトという言葉に一瞬食い付きかけたつくしだったが、家のことで必死なこともあって彼氏など欲しいとも思わないし、以前桜子にどうしてもと言われ参加した時も、男の人にしつこくされて辟易した思い出しかない。

「先輩みたいな、見た目簡単に落ちそうなのに、男に靡く気配すらない人って、どういうわけかモテるんですよね…」
「失礼な…。見た目簡単に落ちそうって…」
「だって、セレブ相手なら100発100中ですよ!?偶然だって言うんですか」
「確かに…こないだのボンボン、つくしの連絡先を教えろってしつこかったもんね〜」
「あとは、道明寺さん、花沢さん…」

滋が言うボンボンに、合コンの間ずっと絡まれて大変だったのだ。
早々につくしは帰ったが、その後も桜子たちにつくしの連絡先を教えろと迫ったらしい。

「そこで、なんで類と道明寺の名前が出てくるのよ…」

「「「……2人とも可哀想に…はぁぁぁ」」」

つくしがよく分からないと言うように、3人の顔を見ると、優紀までもが額に手を当ててガックリと肩を落としていた。

「……?」

「あ、そろそろ時間だから来るはずですよ?先輩、バイトよろしくお願いしますね!」
「えっ!?なに?まさか、今から合コン?」

急いで帰ろうとするつくしの両腕を滋と桜子に固められ、動くことすら敵わない。

それから、10分もしないうちに男性4人が店に到着し、つくしたちの前に座った。
いつもF4を見慣れているつくしとしては、彼らがカッコいいのかそうでないのかはよく分からないが、桜子が滋にまぁまぁですね、と言っているところを見ると相当なのだろうと思う。
優紀に至っては、少し頬を染めている。

「みんな、すげー可愛いね」
「うわっ、ほんとだ!レベル高い!」

「「「こんにちは〜」」」

明らかな外面の笑顔で挨拶をする3人に、つくしはガックリと肩を落とした。




つくしに内緒で付かせているSPからの報告を受けて、類がカフェの前に着くと、ガラス張りの店内奥に、眉を寄せてしかめっ面をしているつくしがいた。
それもそのはずで、いかにも成金といった風情の男が、つくしにしつこく話し掛けているからだと、類はすぐに察した。

類が店内に足を踏み入れると、店員を含めた女性客が一斉にドアに視線を向け、黄色い悲鳴と共に、頬を染めた顔で類を見つめる。
桜子や滋でさえ、店内の雰囲気から類が来たことにすぐ気が付いたというのに、目当ての彼女は隣に座る男から逃れようと必死で、類がいることに全く気付いていない。

「つくしちゃん、連絡先教えてよ?」
「あ、いや…あたし、携帯持ってないんで」
作品名:Love me tender前編 作家名:オダワラアキ