二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

オマケ

INDEX|1ページ/1ページ|

 
学校からの帰り道。

まだまだ2人の間には
人が1人通れるくらいの距離がある。

なんか…友達と彼氏の違いがよくわからない。

すずめはそんなことを考えていた。

「オイ。」

「えっ?」

急に呼ばれて、自分がボーッと
していたことに気づいた。

「何神妙な顔してんだよ。」

「いや、なんでもないよ。」

「…ちょっと待ってろ。」

「え?」

馬村はそう言うと、フラッとどこかへ消えた。

「待ってろって…どこいったの?」

しばらく待つも、なかなか帰ってこない。

「なんだよ…一緒に帰ってたのに。」

いや違う。一緒に帰ってたのに
ボーッと違うこと考えてたのは自分だ。

すずめは少し泣きそうだった。

彼氏彼女って何をしたらいいかわからない。

馬村、怒って帰っちゃったのかなぁ。

そんなネガティブな考えが頭をよぎった時、
ハァッと息を切らす音が聞こえた。

「悪ぃ。遅くなった。」

寒いのに、白い頬はピンクに染まって、
白い息が次から次へと吐き出される。

「ほら。」

ガサっと目の前に出されたのは
コンビニの袋で、中には
肉まんやら菓子パン、お菓子などが
たくさん入っていた。

「どうしたの?これ。」

「?腹減ってたんじゃねえの?」

「?なんで?」

「違うのかよ。」

馬村は恥ずかしくなって
ピンクの頬から次第に赤い顔になり
そっぽを向いた。

「わたしがお腹空いたと思って買ってくれたんだ?」

「何が食べたいかわかんねえから、
好きそうなもの全部買ったんだよ。」

ちょっと不機嫌そうにそっぽを向いたまま
馬村はたくさん買った言い訳をした。

「食えば元気になるかと思って…」

すずめはキョロキョロとあたりを見回した。

「?今度はなんだよ。」

入り組んだ住宅地の、行き止まりのところまで行き、
ちょいちょい、と馬村に向かってすずめは手招きをした。

「は?そんなとこで食うの?」

いつもは道路だろうが学校の廊下だろうが
平気でがっつくのに。

馬村はポケットに手を突っ込んだまま、
訝しげにすずめが手招きするほうに行った。

「肉まん、先に食わねーと冷める…」

と言うが早いか、急にすずめが
ドスッと突っ込んできた。

「ぐえっ」

「おま…何して…」

馬村は抗議の言葉を口にしようとして、
ギュッとポケットに突っ込んだ腕ごと
すずめにホールドされていることに気づいた。

「なっ////何だよ、これ。」

カァァァッと体温があがるのがわかる。

ドクンドクンとありえない大きさで
心臓が鳴ってる気がした。

「…////えっと…感謝の気持ち?
を体で表現してみた。」

「か、体ってな…ヤベエんだけど」

「?何が?」

馬村がすずめを見下ろすと、
すずめは頬の染まった顔で馬村を見上げ、
「馬村、ありがとう。嬉しいよ。」
と言って笑った。

すずめは自分が彼氏彼女って何するか
って考えてる時に、
馬村が自分のことを一生懸命考えてくれていたのが
本当に嬉しかった。

「!!~~~////」

馬村はすずめの腕を振り払い、
壁のほうに手をついて、
反対の手で顔を覆ってしゃがみこんだ。

「!馬村?!強くしすぎた?苦しくなった?」

「…オマエ、俺を殺す気か…」

「えっ、そんなに?!ごめん…」

スクっと立ち上がった馬村は、

「煽ったオマエが悪ぃんだからな。」

といって、ふわっとすずめを抱きしめた。

「馬村?大丈夫?」

「大丈夫じゃねえ。」

すずめの肩に頭を乗せ、
馬村は幸せを噛みしめた。

こんなオマケがついてくるなら、
いくらでも肉まんでも菓子でも買おうと思った。

一方すずめは、感謝のつもりだったのに
返って馬村を苦しめたと思い、青い顔をしていた。

その様子がおかしくて
馬村はついつい笑ってしまった。

「ふ…オマエ全然わかってねえな…」

あ、馬村、笑った…

すずめがそう思った瞬間、馬村がすずめの頬に
ちゅ、とキスをした。

すずめは赤い顔で頬に手をやり、
馬村は少し照れた顔をして、
「感謝返しだ。バーカ。」
と言って、コンビニの袋から肉まんを取り出した。

「冷めたじゃねえか。ほら食え。」

「う、うん。」

「半分よこせよ。」

「えっ、皮のとこだけでいい?」

「は?オマエなめんな。そんなの肉まんじゃねえよ。」

「だってわたしに買ってくれたんじゃないの?」

「一緒に食うために買ったんだよ。」

「えー?なんだよ、今の感謝返して。」

「返したじゃん。」

「?どうやってだよー。」

「……こうやって。」

馬村はもう一度すずめの頬にキスをした。

「!///」

「何。まだ返して欲しいのかよ?」

そう言う馬村の顔は真っ赤だ。

「も…じゅうぶんです…///」

「ふ…バーカ。」

馬村はすずめが持っている肉まんにかぶりついた。

「あーーーっ!」

「早く食わねえと無くなるけど?」

口の中にいっぱい頬張りながら
馬村はしれっと言った。

「た、食べる!」

むしゃむしゃと残りの肉まんを頬張り、
すずめは「あー冷めたけどコレおいしいねえ!」
と、一瞬で機嫌を直した。

「ぷ。」

思わず噴き出しそうになって
口を抑える馬村をよそに、
すずめは再び「馬村ありがとう!」と笑って言った。

「ん…///」

馬村は自分の顔の下半分を、マフラーで
ぐるぐる巻きにして隠した。

「これ、帰りながら食べよう?」

袋に入ったまだたくさんのお菓子などを指して
すずめは馬村を見た。

「まだ食うのかよ。」

マフラーを手で抑えながら、
馬村はコンビニの袋を持った。

2人はいつもの道に戻った。

一緒に歩く距離が、肩が触れるくらいになっていた。
作品名:オマケ 作家名:りんりん