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こらぼでほすと 散歩2

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さて、こちら、ソレスタルビーイングのラボではティエリアが刹那にデータチップを手渡していた。
「確認ならライルにさせればいいだろう。」
「そちらは、ついでだ。ニールに顔を見せて来い。」
「まだ半年だが? 」
「だが、ここで休息しないと十一月のミッション終了までは地上に降下できない。さすがに十ヶ月近い音信不通はニールが寂しがるぞ、刹那。」
 これから、軽いミッションがある。それが終わらないと休みはとれない。ミッションといってもダブルオーを動かすような大々的なものではないし、もしかすると考えすぎかもしれないのだが、念には念を入れるためだ。すでにライルの潜入の手配も終わっている。ミッションの後始末までをすると十二月になるから、ティエリアは、そこいらを気にしているのだ。
「おまえは? ティエリア。」
「俺はゴールデンウィークだったから半年に満たない。ミッションが終わったら降下しようと思う。年末年始を過ごすつもりだ。」
「そうか、フェルトも連れて行けばいい。」
「わかった。予定を立ててもらうことにしよう。きみとロックオンに留守を頼むことになるが、かまわないか? 」
「俺は、どこでもいい。それならイアンの手伝いに専念する。」
 まあ、何かと用事というものはあるので、留守番といっても暇ではない。新しい機体を製造している組織のラボで手伝いをすることにした。使うことないだろうとは言われているが、用意はしておくべきだ、と、イアンとリンダの技術者たちが、細々とやっている。一応、全員のリクエストは出していて、少しずつ設計も固まったところだ。秋は台風の季節だから、看病になるかもしれない、と、刹那もティエリアも知っている。だから、他の面々ではなく刹那かティエリアが降下することにしている。

 ということで九月の中旬頃に刹那は降下することになった。リジェネからの情報で、もしかすると検診にぶち当たるかもしれないとのことだが、一泊二日なので待っているつもりだった。密造フラッグの動作確認やらもあるから、ニールが検診の時は、そちらの時間に充てればいいか、という緩い感じだった。



 とうとう、台風が小笠原諸島を越えた。一日か二日で本土上陸で、どう見ても直撃コースだ。ニュースで台風情報をハイネとニールで確認して、あーあーと息を吐いた。そうなるかもしれないな、とは言っていたが、実際、来られると、とても面倒だ。
「うわぁー直撃か。今晩から移動するか? ママニャン。」
「ドクターから、なんもメール来ないぜ? ハイネ。明日でいいんじゃねぇーか? 」
「調子は? だるくないか? 」
「まだ頭痛も倦怠感もないから大丈夫。どこいら辺りから影響がでるか、よくわからない。」
「それならいいけどさ。具合がおかしくなったら、即移動させるからな。」
「・・・・おまえ・・・過保護すぎるんじゃないか? ただ動けなくなるだけだぜ? 」
「いきなりダウンしてみろ、リジェネは泣くし、俺が、みんなから凹だってぇーのっっ。」
 ニールの体調管理責任者のハイネは、ダウンなんかは気になる。ただの夕立やゲリラ豪雨なら、寝てればいいが、台風は時間が長いから、寝かせておくにしてもドクターの側のほうが安全だ。急激な気圧変化だと発熱したり、いろいろと厄介な症状が出る可能性もあるからだ。
「今のところは問題ない。ドクターから呼び出し受けたら送ってくれ。リジェネもついてくるよ。」
「わかってる。俺、今夜は店を休もうかな。」
 アスランに予約客の確認をして休めそうなら休むつもりでメールした。ハイネご指名はなかったはずだが、ヘルプが必要な団体客があれば、そうもいかない。最悪、アイシャやアマギを呼び出すことになる。大袈裟な、と、ニールは苦笑しているが、この自己管理に無頓着な男の言葉なんてハイネはスルーだ。何をやらかすかわからない生き物なので、こういう場合は誰かが側に居るほうがいいからだ。そうこうしていたら、先にアイシャが顔を出した。どうやら、虎が先に頼んでおいてくれたらしい。
「いらっしゃい、アイシャさん。」
「アラ、まだイキテル? ニール。」
「生きてますよ。明日ぐらいはダウンしてると思うけど。何を召し上がりますか? 」
「温かい紅茶がいいわ。ミルクティー。」
 はいはい、と、ニールは台所へ赴く。ちょうどハイネのブランチが終わって一服していたところだ。坊主はパチンコに出かけているしリジェネは脇部屋でお気に入りのアニメを鑑賞している。のほほんとした寺の午後時間だ。
「俺、残るつもりしてたんだけど? アイシャさん。」
「アンディが、ハイネの仕事予定がワカラナイからって。クルマで来タカラ出勤してもオーケーよ? 」
「俺としては出勤前に運び込みたいんだけどさ。まだ調子はいいらしい。」
「ソウネ、上陸するのは明日の夜デショ? まだイキテルわね。ニール、何か食べタイワ。」
 そういや、食事していなかった、と、台所に叫ぶと、「サンドイッチとかホットサンドなら、すぐだけど。」 と、返事が来る。
「フレンチトーストがイイ。」
「了解。ちょうどいいから、みんなのおやつも、それにしよう。」
 寺のおサルさんは、そんなものでは腹が膨れないが、他の年少組なら、それでいい。食パンと牛乳とタマゴはあるので、さくさくと準備する。牛乳とタマゴを混ぜたものを平たいパッドに流して、そこに食パンを沈める。染み込んだらバター大目で焼いて、はちみつかメイプルシロップをかければ完成だ。年少組の分は、パッドに寝かせておいて、さくっとアイシャの分だけ作った。
「はちみつしかないけど? もし、甘くないのがよかったらアンチョビとマヨネーズ、ケチャップがあるぜ、アイシャさん。」
「一枚目はアンチョビ。二枚メはハニー。」
「はいはい。」
 食事としてなら、甘くないほうがいい。皿を二枚用意して、アイシャに差し出す。もちろんミルクティーもついている。
「なるほど、アンチョビはいいな。これなら酒の肴にもなりそーだ。」
「洋酒ならな。俺、ちょっと墓の掃除してくるから、ゆっくりしててくれ。」
「手伝おうか? 」
「いい、いい。運動の代わりだからさ。」
 風で供物やら枯れた花が飛ばないように先に回収する。これをやっておかないと、台風の後で大掃除になる。行ってくるぜ、と、ニールはゴミ袋を持って出て行った。玄関の扉が閉まる音がして、しばらくしてから、「刹那ガ降下スルわよ。」 と、アイシャが切り出した。
「え? それ、いつ情報入った? 」
「サッキ。タブン、ニールがポッドにハイッテル時に到着スルワ。」
「ん? それってことは直撃タイムじゃないか? アイシャさん。」
「そうなるワネー。飛行機が到着シナイかも? 」
「どっかで足止めか、別の空港に着陸になるな。ちょうどいいか。通過後なら、ママニャンも安定してるはずだ。・・・・で、なぜ、ママニャンに教えないのかな? 」
「ニールはネ、オシエルと落ち着かないデショ? 」
 と、アイシャがクスクス笑って、フレンチトーストを口にする。確かに、検診は落ち着いて受けてもらわなければ、良い数値にならない。寝て起きて、刹那が到着していれば、それはそれで、いいサプライズにはなるからだ。
作品名:こらぼでほすと 散歩2 作家名:篠義