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こらぼでほすと 散歩4

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フラッグの稼動実験も終わったし、組織との連絡もキラと一通りできたので、刹那のほうは、これでお役御免だ。これは一応、降下のための言い訳みたいなものだから、キラのほうも簡単に終わらせた。というのも、これから、しばらくは軽いミッションで、刹那は組織のほうで待機になるからだ。
「ティエリアとフェルトを年末年始に降ろす予定だから、大したことはないはずだ。」
「じゃあ、刹那は、その後? 」
「今のところは、次のミッションだけだから、そうなるだろう。」
「じゃあ、春に一ヶ月くらい滞在して、ママのはぴばと刹那のはぴばを両方やらない? 」
「できれば、そうさせてもらう。新しい案件がなければ、という仮定のものだが? 」
「それはしょうがないね。連邦のイノベーターのことも仕入れておくよ、刹那。どうも、地上にはいないみたいなんだ。」
「そうらしいな。ティエリアが言うには、ヴェーダか軌道ステーション、資源衛星あたりにいるらしい。」
 ヘリで移動している最中に、そんな雑談をしていた。連邦に、たった一人だが、刹那と同等のイノベーターがいるという情報が存在している。ただ、連邦も隠しておきたいのか、イノベーターを、あっちこっちと移動させているらしい。戦艦で移動されると、キラたちでも居場所を特定するのが難しい。なんとなく、ここにいたらしい、というのが後から判明するので、追いかけっこしているような状態だ。連携することはないはずだが、最低限の情報としては握っておきたいので、ティエリアもキラも、まめにチェックはしている。イノベーター同士の潰し合いは極力、避けたいのは刹那も同意のことだ。


 歌姫様の本宅のヘリポートに到着したら、出迎えがあった。ちらりと刹那は、その姿を見て首を傾げている。
「刹那、あれ、どこから湧いたの? 」
 もちろん、キラも胡乱な目をやっている。アスランはヘリを操縦していたので、まだ機内だ。
「地上でミッション準備をしていたはずだ。」
「そうなの。」
 で、アスランもタラップを降りて、はい? と、刹那に目を遣るが、黒猫は首を横に振っている。俺は知らない、ということらしい。とりあえず、近寄ったら、「刹那、おかえり。」 と、おかんの真似事までするのでキラもアスランも吹き出した。
「全然、似てない。」
「根本的に服装が間違ってるぞ、ロックオン? 」
 それだけ言うと中に入る。へ? と、後姿を見送ったおかんもどきに、刹那も腹に拳骨を軽くきめる。
「何かあったのか? ロックオン。」
「ぐふっっ、げほっっ・・・なっなんで・・・」
「おまえの気配で、ニールではないことは判明する。俺のおかんは、どうした? 」
「今、寝てるから代わりに・・いや、俺たち双子なんだけど? ダーリンっっ。」
 もちろん、ディランディーさんちの双子なので、姿形は瓜二つなのだが、刹那には気配の違いで分かるし、キラたちにも分かる。ニールが出迎えるなら、側にリジェネがいないのはおかしいし、服装が検査服でもパジャマでもないのだから、ニールではない。ニールの周辺に居る人間なら、それは常識の範囲だ。本宅に入って、誰も居ないと確認してから刹那は口を開く。
「なぜ、ここにいる? 」
「これから、潜入ミッションで、しばらく、刹那と逢えないから愛の確認に来た。二十四時間でいいから、俺に時間をくれ。」
「了解した。とりあえず、ニールの顔を見てからだ。」
「兄さん、寝てたんだってば、刹那。」
「キラが入れば叩き起こされているはずだ。」
 勝手知ったる場所なので、刹那は迷わずに地下へ降りる。地下の病室は外からでも騒ぎが聞こえている。


 すでに、夜という時間なので、リジェネがニールを起こした。経口摂取が一番、体調を戻すのに有効だから、食事させるためだ。レイも、側にいる。ロックオンが顔を出したのだが、刹那が戻ることを伝えたら出迎えに消えた。対応は、顔見知りのレイがしたので、リジェネとは顔を合わせただけだ。
「・・・食べたくない・・・」
「ダァメッッ。スープだけでいいからっっ。」
 食欲のないニールは、ぐだぐだしているので、レイはお湯につけて絞ったタオルで顔を拭く。目を覚ますには、これが効く。その間に、リジェネが食事の手配をしていると、キラが飛び込んできた。ばふっっとニールに飛び掛る。ぐにぇ、と、ニールがおかしな声を吐き出しているが、これで確実に目は覚めた。
「ごきげんよー ママ。ごはんの時間だよーん。」
 上から乗りかかられて、キラの頬を擦り付けられていれば、ニールも覚醒する。もう、と、息を吐き出してキラの顔を退ける。
「具合はどうですか? ママニール。」
「・・アスラン・・・刹那は? 」
「すぐに着ます。リジェネ、俺たちの分も頼んでくれ。刹那たちの分も。」
「了解、アスラン。準備はしてもらってた。」
 戻って来るキラたちの分も準備はしてもらっていたので、連絡をすれば一緒に届けられる。すぐに、刹那も戻ってきて、横になっているニールを抱き締めている。
「はいはい、おかえり、刹那・・・あれ? 」
 すりすりしている黒猫の背後に、似た顔がある。よおう、と、手を挙げているのはロックオンだ。
「連絡なかったけど、一緒だったのか? ロックオン。」
「いいや、俺はユニオンに出張ってたから、そっちから合流。ちょっと刹那と愛の交歓がやりたくてさ。」
「ああ、新婚旅行をやってこいよ。アスラン、前に刹那と泊った旅館って手配できないかな? 」
 仕事で離れ離れになっていたらしい。そういうことなら、ゆっくり夫夫で過ごせばいい、と、ニールは思ったのだが、「いやだ。」 と、黒猫が拒否だ。
「二十四時間だけと限定している。わざわざ、あそこへ行く必要はない。」
「いや、どうせ、俺は動けないし。たまには、夫夫で泊るのもいいだろ? 二十四時間なら一泊二日の時間になる。明日明後日と行けばいい。」
 ニールとしては、たまには実弟に、いい思いをさせてやりたいわけで、刹那の説得をする。以前の時は四十八時間で二泊三日だったから、それぐらいは夫夫で過ごすのもいいじゃないか、と、宥めたら、黒猫は、やだやだとニールに抱きついているが、拒否ではないので、通りそうだ、と、アスランに視線で合図した。
「まったく同じところではないかもしれませんが? 」
「似たようなところならいいよ、アスラン。たまには、こいつらにも特区の秋を満喫させてやりたいってだけだ。」
「そういうことなら、なんとかなります。」
 アスランも、そういう意図なら、まあ、こんなとこかな、と、いうところをピックアップする。この情報は、主にキラと一緒に行くための旅館をデータで保存しているものだ。いくつかの旅館をチェックして、空き室の確認をして予約を入れる。
「オッケーです、ママニール。データは刹那の携帯へ送っておきます。」
「ありがとう、アスラン。ほら、刹那、決まったから明日から行っておいで。ロックオン、新婚旅行だ。」
 わぁーい、と、ロックオンは喜んだが、ロックオンの旦那は、おかんに、「今夜は、あんたと寝る。」 とか甘えていたりする。
「俺とか? ロックオンと寝ればいいだろ? 」
「やだっっ、あんたがいい。俺の体温で温める。」
作品名:こらぼでほすと 散歩4 作家名:篠義